bsr復讐主


 
鉄の錆びたような匂いが鼻を掠める地に、一人の少女が膝を付いて嗚咽していた。

「…うっ、うぅ…父様…兄様ぁ…!」

膝を付いて横たわる青年の胸で、嗚咽を上げながら此度の戦で命を落としてしまった最愛していた父と兄を呼ぶ。が、呼んでも最愛の者達は戻ってこない。
父兄を慕っていた足軽に悲報を受け、少女が顔色を変えて駆け付けた時には遅かった。

少女は一頻り泣いたところで、未だ目に涙が溜まっている顔を上げ、辺りを見渡す。そして見付けた。あの有名な六紋銭の施された紅い鉢巻を。少女は歩み寄って、その紅い鉢巻を握る。

「これは、真田の…!」

この乱世の中、紅い鉢巻をする者など少女の知る限り一人しかいない。少女は紅い鉢巻を強く握り、ギリッと奥歯を噛み締める。そして憎悪にも似た声を喉の奥から絞り出した。

「…っ、許さない。私は父様と兄様の命を奪ったお前を絶対に許さない…ッ。命乞いをしても父様達と同じめに合わせてやる…ッ!!覚悟しておけ、真田幸村ァァァア!!!」


少女は幸村の鉢巻きを懐に入れると、父と兄の腰に差してある刀を鞘ごと抜いて己の腰に差す。そして復讐と憎悪を胸に真田が拠点、甲斐を目指して歩き出した。
甲斐を目指すその足に、一片の迷いはなかった。




そんな少女を木の影から見て、口許の笑みを濃くした者がいた。

「……フフッ、真田を上手く殺って下さいね…名門武家の名前さん」










***
最後に登場したのは変た…死神です←
最初、何処ぞの右腕と悩みましたが死神に決めました。
復讐主はそこそこ名の知れた名門武家の娘で、復讐主の名前も知っている者は少なからず居るみたいな。
簡単に説明しますと誰が意図的に戦後のその場所に幸村の鉢巻きを落として、復讐主に復讐させようとしているんです。しかし幸村はその戦に参加したものの、親子には手をていない。つまり幸村は無関係。
幸村が父と兄を殺したことに関与してないと分かった復讐主は、次第に幸村に惹かれていく。
だが、復讐しようとした己にそんな資格はないと、幸村への気持ちを押さえ込むみたいな。
そんな復讐主を書きたいです。
題名の候補は「朱も交われば赤くなる」

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