下らない事に時間を消費してしまったと小さくぼやきながら莉央は突き当たりまで進んだ。
先程の己の言葉を肯定する様にトイレの文字とドアがそこに存在しており、莉央は創耶に早く行ってこいと女子トイレを指差した。

独りでトイレに入るのが怖いのか、創耶は誰か着いてきてくれないかと3人を見るが着いてきてくれる気配はなくやがて諦めると恐る恐る創耶はトイレの中に入っていった。

玲音はそれを見送ると見計らったかの様に続いてトイレに入ろうとしながら2人を手招きした。
着いてこいという玲音に不思議そうな面持ちで続けば、玲音は不自然にしまっている奥から3番目のドアに向かって歩き出した。

創耶が入っているトイレは音からして丁度向かい側の様で、いつもは面倒そうな表情を崩さない玲音が割りと楽しそうな笑いを噛み殺した表情を浮かべているのを見て深夜と莉央は何と無く悟ったのだった。

玲音は誰も入っていない筈のドアを3回叩くと誘い文句を口にした。

「はーなこさん、遊びましょう?」

その言葉が音として発された瞬間、創耶の入っているであろう個室からガタンと音がした。

それだけで創耶を脅かすという目的が達せられた為、玲音達は廊下に出ようと振り向いた。

そこで視界に入ったのは赤く綺麗な長い髪だった。莉央の物とは違う濃い赤。後ろで緩やかに結ばれている。
そしてきつめの顔立ちの長身。
先程までそこには居なかった筈の男がそこに居た。


「誰…?」

ぼそりと玲音が問い掛ければ深夜と莉央は何とも言えない顔をしていた。どうやら2人には見えていないらしい。



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