◇お願い
「お父ちゃま!」
「ん?どうしたんだ?杏」
「氷輪丸で卍解してください」
「……この寒空にか?風邪をひくぞ?」
愛娘を抱き上げて突然のお願いに首を傾げた。
「はい。ことしはたつ年だから、氷輪丸は氷の竜だからって」
「……そんなことを言ったのは、松本か?」
「はい。松本ふくたいちょうが」
娘をそっと降ろし、霊圧を探り当て眉間に皺を深く刻んで振り返った。
「まーつーもーとー」
恐ろしげな形相になった父を見上げ、杏は悲しげに袴をひいた。
「…なんだ?」
「あたしも、みたいの。お父ちゃまかっこいいから」
愛娘にそう言われては、冬獅郎も弱い。
「じゃあ、あとでこっそりな」
「はい」
部下の思うままにはさせまいと微笑を浮かべ、杏を再び抱き上げた。
「乱菊…あかんわ…微笑がやっとやわ」
ギンがカメラを構えて狙っていたのだが、乱菊の思惑通りに撮れず肩を竦めた。
「ちっ、雛森も被せた方が良かったかしら」
「……で、これ何に使うのん?」
「ん?女性死神協会発行の写真集に使おうかと思って。日番谷隊長と、朽木隊長は今や人気二分してんのよね」
「……まだそないなこと、してはるんやね」
「……あんたとスタークもあるからね」
「うわぁ」
何時の世も女性は強かだと、ギンは苦笑いを浮かべたのでした。
未来のひっつん想像図
20120101〜0203
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