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岸辺露伴は顔が良い

ひよこさまに岸辺露伴を描いていただきました!
最高にカッコいいからみんな見て……!
お話もつけさせていただきました。ありがとうございます!!!






美しいものはどうやったって美しい。
人間は中身だとかなんとかっていうけど、見目が麗しいことと中身が良いことはまた別の話だと思う。目の前のこの性格のアレな男がいい例だ。事あるごとに「君は馬鹿なのか?」「そんなこともわからないのかよ」などと言っては勝ち誇ったような笑みを浮かべる、リアリティと漫画をこよなく愛するプライドの高い男。いちいち腹が立つのにこうして私が彼の家でおさんどんをしているのは、ひとえにこの男の顔がいいからだ。

「せんせー、ごはんできましたァ」

「……あぁ、今行く」

あ、これは来ない。
返事でそうわかってしまう程度に、私はこの家に通っている。別に恋人だってわけじゃあない。家政婦みたいなもんだ。以前そう言ったら「家政婦ってのは頼んで雇うもんだろ?君は勝手に来るんじゃあないか」と一蹴された。……先生の言うことにも一理ある。

「……冷めちゃいますよ、?」

届かない言葉は湯気に溶け落ちる。冷めたら美味しくないよ、と言えればいいのだけれど、私が勝手にやっている(やらせてもらってる、の方が正しいのかもしれない)以上あまり強くは出られない。早く来ればいいのに、と頬を膨らませても、ここにいない露伴先生には見えていないから伝わらない。

テーブルの料理から湯気が消える頃、露伴先生が来た。待ってた不安も苛立ちも、その顔を見るとすっかり無くなるから不思議だ。キリよく漫画が書けたであろう清々しい表情は、いつにも増して格好いい。

「冷めちゃいましたけど、」

「……構わないさ。ぼくが遅かったせいだからな」

露伴先生は美しい所作でもってテーブルに着き、私のことなんて気にせず食事を始めた。いただきます、の言葉だけはきちんと私に向けてくれるところがなんとも憎らしい。

それにしても、綺麗な人だな、と思う。
その性格も口の悪さも、変なバンダナも気にならないくらい顔が良い。『可愛いは正義』なんてキャッチコピーがあるけど、これは正義だ。ジャスティス。

「なに惚けてるんだよ」

「え、別に?」

「そうだな、……君がぼんやりしているのはいつものことだ」

何事も無かったように視線が外される。その瞳の動きをじっと見つめてしまうのは、やっぱり先生が格好いいせいだと思う。これで性格が良ければな、とも思うのだけれど、私がこれだけ不躾な視線を送っても意にも介さないのは助かるから、やっぱり彼はこのままでいいような気もする。

「……食べないのか?」

「見てる方が楽しいんで。」

私がきっぱり言い切っても、そうか、の一言で流してくれるのが嬉しい。変に気を使われないのはとても幸せなことだと思う。なんていうか、公然のストーカーだもんな。普通の人相手じゃあこうはいかないだろう。

「……ごちそうさま」

「お粗末様でした」

思う様眺めたこっちの方がごちそうさまだよなぁと思ったらなんだか面白くなって、私は上機嫌で食器を片付ける。さて洗おうとシンクに向かったところで、なぁ、と後ろから声を掛けられた。振り向くと、目の前にニヒルな笑みの露伴先生。

「君はそんなにぼくの顔が好きなのか?」

「……そ、りゃあもちろん!家政婦になって眺めたいくらいに!」

力強く頷けば、露伴先生は「君のは家政婦じゃあなくて押掛け女房だろ」と言った。

「おしかけ、にょーぼ……」

顔が好き、っていうのは恋愛感情に含まれるんだろうか。そもそも私は露伴先生が好きなのか?いや、顔は好きだけど……、なんて色々考えてると、先生は私に向かって言った。

「……恋人になったら、もっと近くで見られるぜ?」

整った顔がぐい、と近付いてきて、思わずどきりとする。中身が岸辺露伴なのは知っていても、この顔で迫られたら抗えない。

「……そ、れは……嬉しいですけど、」

私が見るのはいいけど、見られるのはやっぱり恥ずかしい。視線から逃げ出そうと後退ると、露伴先生は面白がって距離を詰める。

「……せんせーは、ッいいんですか……」

「……ぼくは構わないぜ? これもリアリティだからなァ」

ヘェ、随分と面白い反応をするじゃあないか、なんて、完全に遊ばれている。私のことなんて全部お見通し、みたいなその表情は最高に格好良くて、視線が逸らせない。

「……ッッ、」

「……なんだよ、君はぼくの顔が見たいんだろ?」

だったら『見られる』ってことも覚悟しなくちゃあなァ?
そう言って先生は楽しげに笑った。恥ずかしいやら悔しいやらで心臓がばくばくとうるさい。……好きだからってわけじゃあない。顔がいいからだ。

「……随分と真っ赤じゃあないか。それで、君はどうするんだ?」

ここに来て判断を委ねるなんて、本当にこの人は意地悪だ。でもだけど、今よりもっと至近距離で、なんて、心臓が破裂しそう。

「……せんせーの、こ、いびと……に、して、ください……」

いろんなものを天秤に掛けても、やっぱり岸辺露伴は格好良かった。

20181024


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm