dream | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

寝ている時は

ナギさまからいただいた岸辺露伴にお話を付けさせていただきました!
ありがとうございます!!!





口を開けばリアリティがどうだとかああじゃないこうじゃないとうるさい恋人が、珍しく机に突っ伏して眠っていた。
机の上に何もないところを見ると、原稿は既に送ったのだろうか。寝るなら布団で寝なさいよ、と母親のようなことを思ってみたけれど、気持ち良さそうな寝顔を見ると起こすのは忍びなくて、言葉にするのはやめた。
しかし普段とは随分な差だ。耳を澄まさないと聞こえないほど静かな寝息がすやすやと僅かに空気を揺らす以外は、なんの音もしない。黙っている岸辺露伴という男はとても美しかった。普段の性格の悪さが思い起こされなければ惚れ直していたと思う。
けれどそこは日頃の行いってやつがモノを言うわけで。私の心には『仕返しするなら今しかない』って気持ちがムクムクと湧き上がる。
額に肉って書くくらいしてもいいと思って、ペンを持ってきた(流石に油性を使う勇気はない)。それとも頬に十字傷のほうがいいかな、なんて露伴の顔を眺める。相変わらず静かに眠る美しい男は、私の悪意(重ねて言っておくけれど、これは普段の仕返しだ)なんて微塵も知らずにいる。
「…………」
きゅぽ、と音を立ててペンのキャップを外したところで、なんだかちょっと仏心が出てしまった。机にペンを置き、毛布を取りに行く。命拾いしたな! なんてまるで漫画に出てくる悪役の捨て台詞みたいなことを思いながら、眠る先生の身体にそっと毛布を掛けた。

*****

「オイ、……オイ! 聞いてるのか君は」
少しして私を呼ぶ声が響き渡った。起きるなり騒がしい人だよ、とげんなりしながら先生の部屋に向かえば、彼は机に置かれたペンを指差し憤慨していた。
「どうしてキャップを開けっ放しにするんだ! インクが乾いたら使えないんだぞ!」
「あ、……忘れてた」
「忘れてたって君はバカなのか」
ぷりぷりと怒る先生に「ごめんなさい」と言ったけれど、そんな言葉一つで彼の怒りがおさまるわけもなく、私は『やっぱり額に肉って書いとくんだったな』と後悔しながら、この長いお説教が終わるのをただ待つしかなかった。



「なんだってペンなんて……一体何に使ったんだよ」
「う、……それは……」



20180215


萌えたらぜひ拍手を!


prev next

bkm