あなたは『元気になってほしいのに慰め方が下手で赤ちゃんをあやすみたいな方法をとってしまった』仗助のことを妄想してみてください。
shindanmaker.com/450823
という診断メーカーのお題。
落ち込むことくらい、私にだってある。
「どーしたんスかななこさん」
どうした、と言われても説明できない。そもそも言葉にできる程度のことならこんなに落ち込んだりしないし、言い表せないからこそ、こんなにしんどいんじゃあないか。
……なんて返す気力も残っていない私は、返事の代わりに溜息を一つ零した。
「……随分と重症っスね、」
困り顔の仗助くんには申し訳ないけど、こんな時は放っておいて欲しい。返す言葉を考える気力もない私だって、愛しい恋人を傷つけたいわけじゃあないから。
「……そう思うならほっといて」
「つれないコト言うなよォー」
気持ちとは裏腹にひどく冷たい声が出て、仗助くんはちょっぴり驚いた顔で私を見た。それから何か、私の気持ちを見透かすみたいな顔で笑って、おいでおいでと手招き。
「……なに」
ぶすくれたまま仗助くんに歩み寄ると、彼は私の腕を引いて、胸に抱き寄せた。そのタイミングがやけに早かったもんだから、私はバランスを崩して、まるで社交ダンスの決めポーズのように仗助くんの腕に体重をかける形になってしまう。いや、むしろこれは……
「……なんか、仗助くんの子供になった気分」
倒れ込んだ私を受け止めながらそのままソファに腰を下ろした仗助くんはえらく器用だな、と感心しながら溜息をつけば、彼は悪戯っぽい笑みを浮かべながら私の顔を胸に押し付けた。
「ん? いーっスよ好きに甘えて。仗助くんをママだと思って、なーんて。」
「……仗助くん、わたし、赤ちゃんじゃあない……し、仗助くんも、おっぱいは出ないと思うの……」
しっかりとした胸板に顔を埋めながらそう返したのは、単に恥ずかしさをごまかすためだったのだけれど、落ち込んでテンションが低かったせいで、仗助くんには冷静なツッコミに聞こえたらしい。
「いやそんなマジな返事しねーでくださいっス……俺が恥ずかしいっつーの」
仗助くんは頬を赤くして、居心地悪そうに笑った。そんな照れちゃうようなことを、私を励ますためにやってくれたのか。なんて思うのは、自惚れだって怒られちゃうかな。
「……仗助くんの子供より、仗助くんのお嫁さんがいいなぁ、」
溜息と共に小さく零した言葉は、彼の耳にしっかりと届いてしまったらしい。仗助くんは私に覆い被さるように視線を合わせ、「マジっスか!」と期待のこもった声を上げた。
「……うん、」
「じゃあココ、予約しといてくださいね?」
そう言いながら私の左手を取った仗助くんは、薬指に一つ口付けを落とし、そのまま頬を擦り寄せた。
「っつーかななこさん、元気出た?」
「うん、なんか仗助くんが恥じらうの見てたら」
「ひでぇ! なんスかそれ!」
でも良かった、と安堵した顔で笑う仗助くんの頬を、指先でそっと撫でた。
20180116
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bkm