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O sole mio !?

ジョルノが夢主に興味を持つ。夢主はジョルノにあまり関わりたくない。
それと壁ドン。



同級生の汐華くんが、ある日突然ギャングになった。と、風の噂を聞いたのは、いつだっただろうか。彼が学校に来なくなってしばらくして、だった気がする。
ある日私は、汐華くんを見つけた。いや、汐華くんかどうかはわからない。ギャングになったからといって、急に金髪になったりするんだろうか。いや金髪よりもその髪型の方が気になるんだけど。
けれど何故だか私にはその金髪の青年が汐華くんに見えて、思わず「汐華くん?」と声を上げてしまったのだ。
よく見たら眉も綺麗な黄金色で、瞳もなんだか違う色のような気がする。

「…シオ…バナ?」

そう呟きながら彼はゆっくりと振り向いた。私は、汐華くんが自分を認識して視線を向けたことに酷く驚いて、そして彼がギャングになったことを思い出し、そのまま逃げ出してしまった。

*****

学校が、やけにざわついている気がする。教室に入ると、その騒ぎの元凶が黄色い声を従えて近づいてきた。

「…チャオ、ななこ。」

あぁ、昨日のは幻じゃあなかったんですね神様。思わず後ずさったけれど、彼は気にせずこちらに近づき、壁に私を縫い止めた。
壁を叩く音やら女子の悲鳴やら男子の野次やら、いろんなものが私に飛び込んできて状況が飲み込めない。私は一匹のテントウムシに視線を落とす。あぁテントウムシさん、私の平穏な幸せは何処。

「…挨拶は、相手の目を見て…と、教わりませんでしたか?」

「…っ…チャオ、しおばなくん…」

ジョバーナです。ジョルノ・ジョバーナ。
汐華くんは私の耳元でそう言った。これは汐華くんではないのだろうか。教室を見渡しても彼を「汐華」の名前で呼ぶ人はいなかった。黄色い声の中身は「ジョバーナくん」とか「ジョルノ」とかで、もしかしたら本当にジョルノ・ジョバーナさんは汐華くんとは別人なのかもしれない。いや、でも私には汐華くんに思える。

「さて、今日ぼくがここに来たのはななこ、君に話があるからです。」

「…わたしには、ありません…けど…」

おそるおそる声を出したけれど、あっさりと黙殺されたらしい。彼は私の手を引くと勝手にずんずんと歩き出した。黄色い声が遠ざかっていくけれど、私はまだジョバーナくんの顔をきちんと見ることができずに、制服の背に描かれた菱形の数を数えてた。

「…出してもらいましょうか。」

寮の一室(多分汐華くんの部屋だから、彼はやっぱり汐華くんだと思う)に引っ張り込まれ、そう告げられた。

「…出すって…何を…」

カツアゲでもされているのだろうか。私が財布を出したところで中身は空っぽなのに。

「とぼけないでください。」

スタンドです、と彼は言った。生憎私はマイクスタンドは持っていないし、電気スタンドも流石に持ち歩いていない。ガソリンスタンドなんて以ての外だ。

「…す、たんど…なんて、持ってない…!」

私がそう言うと彼は「ゴールドエクスペリエンス!」と叫んだ(頭大丈夫かと思ったけど言ったら殺されそうだ)。
尚もぽかんとする私に、蔦が絡まる。え、なんで。

「…ジョバーナく、…ッ、これ、なに!?」

「…どうやら本体は見えていないようですね。…それなら、どうして貴女は僕が「汐華初流乃」だとわかったんです?」

あぁ、やっぱりジョバーナくんは汐華くんだった、とこの状況なのに少しばかり安堵した私は、どうしてわかったか、の問いを今一度噛みしめる。どうして、と言われても、それは彼が汐華くんだから以外になにも理由が見当たらない。

「…どうして、と言われましても…。汐華くんを見たら…汐華くんだと思うじゃあないですか…」

汐華くんが私を見て学校に来たように(それは私がクラスメイトのななこだと認識したからに他ならない。本当言うとそれはほんの少しだけ嬉しい。)、私はジョバーナくんを見て汐華くんだと思っただけだ、というようなことを怯えつつも必死に説明すれば、彼はしばらく黙って何かを考え、そうして合点がいったのかまるでお日様みたいに美しく笑った。

「…あぁ、わかりました。」

「…わかっていただけましたか!」

何をわかったのかはよくわからないけれど、納得したならここから出してくれ、と思う私とは裏腹に、ジョバーナくんは私を再び壁に押し付けた。

「…あんた、僕のことが好きなんでしょう?」

「…は…?」

ぱちくりと瞬きをする。目の前の男は満足げな瞳で納得したように頷いて、私がぽかんとしているのに気付き、「僕の察しの良さに、驚いて声も出ませんか?」などと宣った。

「…誰が、誰を好き…ですって?」

「ななこが、僕のことを。」

いやいやいや、断じてそんなことはない。ぶんぶんとかぶりを振ると、ジョバーナくんは「…奥ゆかしい人だ。バレてしまったのが恥ずかしいんですね?」なんて柔らかい笑みを浮かべた。だめだこいつ頭がイカれてる。

「…断じて…違いますッ…」

「…照れる必要はありませんよ。…少しくらいなら、オモチャにしてあげてもいいかなって…思ってますから。」

いい笑顔でとんでもないことを言い出す始末。ダメだこの人聞いちゃいない。ギャングだ悪人だ誰か助けて!!!
私の願いは虚しく、蔦に絡め取られた腕は動かないし、近づいてくるジョバーナくんを避ける術もない。そのまま無慈悲に私の唇は奪われる。彼のやけに赤い唇は、見た目よりずっと柔らかだった。…初めてだったのに。

「…真っ赤になって、可愛らしいですね。」

「…ッん…!」

ちゅ、ちゅ、と何度もリップ音を響かせて、ジョバーナくんはあちこちに唇を落とす。
やだ、と声を上げてみても、もがいてみても、私が逃げ出せそうな隙はこれっぽっちもない。そうこうしているうちに私は彼に抱き上げられ、ベッドに放られた。ドサリと背中から落とされ、意識を背中の痛みに持って行かれているうちに、ジョバーナくんが覆い被さってくる。

「や、だっ!」

「無駄な抵抗はやめてください。」

無駄だと分かっても、やらねばならない時もあるんだよジョバーナくん!!!っていうかそんな警察みたいなセリフを吐くギャング初めて見たよ!!!
錯乱する私を他所に、彼はまるで獲物をいたぶる肉食獣のように、私の衣服をゆっくりと剥がした。

「…たっぷり可愛がってあげますからね。」

そう言って唇を歪める彼の笑顔が、ただただ恐ろしかった。



20160805 (恐れ、見よ!!)


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm