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臆病者はその背に追いつくか

#気が向いたら書くリクエストボックス
恋愛に臆病でおどおどしてる年上夢主に猛アタックする仗助




年上の女性に「かわいい」って言うのは喜ばれないものなんだろうか。コイツが目下の俺の疑問だ。
というのも、承太郎さんの知り合いのななこさんが俺の好みドンピシャで、どうにかしてお近付きになりたいと画策しているんだけど、なんつーか、イマイチ反応が悪い。

「あ、ななこさーん!」

彼女をよく見かけるのはドゥマゴのテラス席。今日も天気がいいからか、日向ぼっこする猫みたいに一人でのんびりと本なんて読んでる。俺は彼女を見つけた嬉しさで、勢い良く駆け寄った。

「じょ、仗助くん」

こんにちは、と戸惑いがちの小さな挨拶が聞こえた。それだけですげー嬉しいんだけど、ななこさんはなんつーか、怯えた猫みたいに緊張した顔をしている。

「一緒してもいーっスか?…今日、仕事は終わり?」

「うん、」

「俺は今帰りなんスよー。あ、ねぇそれ何読んでるの?」

「え、…あ、ごめんね」

ななこさんは慌てて持っていた本をカバンに押し込めた。そうじゃあねーんだよ、と言いたいのをグッと堪える。俺は会話のきっかけが欲しかっただけで、本を仕舞えって言ったわけじゃあない。…まぁ、しまってくれたのは嬉しいけど。

承太郎さんですらわかる程にアピールしているのに、(「あからさますぎるだろう」と言われたけど、それでも全然気付かないななこさんが悪いと思う)この人は全然気付かない。それどころかこうやって二人でいても会話すらままならない始末だ。なんとかしたくて目の前の彼女を観察する。
ホントかわいいなぁ、と思わず溜息を吐くと、彼女は不安げにこちらをちらりと見た。

「…取って食いやしませんけど、」

「…えッ、ごめん…」

「謝られるようなこともしてないっスよ」

「…うん…」

おろおろしているのが見て取れて、ホントかわいいなって思う反面、なんで俺に怯えんだよとイラつきもする。せっかく見つけた会話の糸口も仕舞われてしまったし、何を話しかけていいかわからず口を噤む。しばしの沈黙を破ったのは、意外にもななこさんの方だった。

「…あの、仗助くんは…、空条博士の親戚なの?」

「んー?そーっスよ。承太郎さんと俺、似てますか?」

「うん、似てる…と思う…」

言いながら見る間に顔が赤くなっていく。え、これってもしかして、

「…ななこさんって、承太郎さんのことが好きだったりします?」

「…ッ!?そ、そんなことないよ!空条博士はご家族がいらっしゃるし、ッ!」

「そんなこと言って、すげー真っ赤っスけど。」

せっかくちゃあんと会話ができたのに、脈ナシだって突き付けられた気がして悲しい。
真っ赤になるななこさんは可愛いけど、相手が承太郎さんじゃあ勝ち目は薄い。

「違うの、ホントに違くて…、あの、聞いてくれる…?」

「…え、なんスか?」

大慌てのななこさんが、真剣な声を出すもんだから、俺も倣って真面目な視線を彼女に向ける。真っ赤な顔を僅かばかり下に向けて、彼女は小さく言葉を零す。

「好きとかそういうんじゃあなくてね、…顔、すぐ赤くなっちゃうの…。治したいんだけど」

だから、ごめんね。と彼女は困ったように笑った。その可愛さに打ちのめされる。俺のクレイジーダイヤモンドで治せたとしても、治さなくていいとすら思う。

「…じゃあ、俺がアタックしてもいいってことっスか?」

「…アタック…って…」

「承太郎さんが好きなら似てる俺でもいいかなって思ったんスけど、違うっつーならそれはそれで。どうスか?俺と付き合うの。」

ななこさんは赤い頬をさらに真っ赤にして驚いたようにパチクリと瞬きを繰り返した。言葉も出ないようで忙しなく視線を彷徨わせている。そうして「からかわないで」とやっとの思いで言葉を零した。

「からかってなんかないっスよ。…俺だって恥ずかしーけど、言わなきゃアンタ考えてくれないっしょ?」

釣られて俺まで赤面しそうだけど、ここで引いたらこの人は俺には近付いてくれない。そう思って畳み掛けるように「考えてくれますか?」とななこさんを見つめる。
彼女は居心地悪そうにしながらも、俺の視線を受け止め、こちらを向いた。

「…どうして、」

「どうしてって…見た目も好みだし、なんつーか、すげぇ可愛いんスよねー。」

人間中身だ、なんていうけど見た目がマトモじゃなきゃあスタート地点にも立てないし、好みなら多少のことは多めに見られると思う。それは自分の経験則も含めて、だ。
だからななこさんが真っ赤になるのも可愛いと思うし、コンプレックスに思って俯くのは勿体ねーなとも思う。

「…でも、年上だし…」

「俺がいいっつってんだからそこは問題じゃねーだろ。ななこさんはどう?俺と、試しにでも付き合ってみる気、ない?」

ここまで言って断られたら泣くかも、なんて言えばななこさんは困ったように手元のカップを持ち上げ、口を付けた。空っぽのカップに救いを求めたって、なんにもならねーから、早く決めてよ。

「…付き合う、って…」

「…別にすぐにどうこうしようってつもりはないっスよ。デートして合わないなって思ったら断ってくれていいし、とりあえずここ出て一緒に散歩しましょ。」

俺先に行くから、オッケーなら追い付いて。そう言って伝票を掴んでレジに向かう。
精算の間にななこさんが俺の隣に来てくれればいいなと願いながら、ポケットの小銭をジャラジャラと鳴らした。

20170303

リクエストありがとうございました!!!


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm