「どうかしてるぜ!」の仗助と夢主。で、
男性と居るところを見かけた仗助が勘違い・嫉妬して喧嘩→仲直りでラブラブ
無事にななこさんと付き合うことになって数ヶ月。彼女は相変わらず大人だし、俺は相変わらずガキだったけど、それなりに上手くいってると思ってた。
目の前の光景を見るまでは。
ななこさんが、俺の知らない男と歩いている。仲良さそうに笑いながら。
俺の隣を歩くときよりも幾分軽い足取りで、時折駆け寄るように距離を詰め、男を見上げて話しかける。
頭の中が沸騰しそうだ。今すぐブン殴って連れ帰ってやりたい衝動を必死で抑える。食い縛った唇が音を立てて破れそうなほどギリリと歯を噛み締め、なんとか堪えた。
誰だよアイツ。二人仲良く歩く姿が脳裏に焼き付いてぐるぐると回る。ドスドスと足音を立ててみても苛立ちが収まるはずもなく、どうしていいかわかんない俺はななこさんちのドアをクレイジーダイヤモンドで思いっきり殴りつけ、勝手に家に入った。
アイツと二人で帰ってきたらどうしよう、なんて思いながら、彼女の帰りを待つ。
少ししてドアの開く音がした。おそるおそるといった様子なのは、多分明かりがついているのを訝しんでのことだろう。俺はドスドスと玄関に向かい、思いっきり不機嫌な声で「おかえりなさい」と言ってやった。
アパートの廊下の薄暗い蛍光灯に照らされたななこさんは、ひどく驚いた顔をしていて、なんだかすげームカついた。
「…じょ、すけく…どうしたの…?」
「俺が来てちゃあいけねーんスか。」
視線を彷徨わせても、さっきの奴の姿はなかった。少しばかり安堵したのも束の間で、ななこさんの反応に心がざわつく。
「いけなくない…けど、鍵…」
不安げに揺れる瞳が、まるで疚しい事を隠すみたいに思えて、俺は思わず舌打ちをした。
ななこさんは俺の様子に怯えているのか、びくりと肩を震わせる。
「…んなこたぁどーだっていーんスよ。」
「…な、んで、怒ってる…の…?」
なんで?なんでじゃあねーよ。他の男と並んで歩いて、どの口がそんなこと言うんスか。
「…自分のしたこと思い出せばいーんじゃあねーの?」
そう言うと彼女は困ったように眉を寄せた。思い当たることなんてなんにもありません、みたいな様子に尚更ムカついて、俺はななこさんをひっ担いでベッドにぶん投げた。
「きゃあッ!」
可愛らしい悲鳴を上げる唇を塞ぐと、驚いたのかバタバタと暴れる。細い手首を掴み上げて押さえ込むと、彼女は苦しそうに吐息を零した。
「…ッな、ん…っ…んんッ…」
戸惑いの言葉すら飲み込むみたいに舌を絡ませてやれば、あっさりと崩れ落ちる身体。いつもは全部任されるみたいに甘く蕩ける姿が今日は怯えた視線を孕んでいることに、正直言うとチコッとばかし興奮する。
「…あれ、誰。」
上擦った声はまるで俺のじゃあないみたいで、ななこさんはびくりと身体を竦ませた。
「…だれ、って…なに…」
「トボけてんじゃあねーっスよ…」
着ているシャツとブラを一緒に捲り上げて、可愛らしい膨らみを鷲掴みにする。ななこさんは驚きつつもすぐに可愛らしい反応を見せ、それでも、嫌だと身を捩った。
「…男と、一緒だったろ、」
ぎり、と爪を立てれば彼女は悲壮な声を上げた。悪戯に劣情を煽るような悲鳴に、俺の身体が熱くなる。
「あ、れはッ…会社の…!」
「…その割に随分楽しそうだったッスけど。」
こんなに乳首立ててんのも、そいつのせいじゃあねーの、と言えば、彼女は真っ赤になりながら、それは仗助くんのせいだと、途切れ途切れに弁明する。
「仕事ッ…だから、…機嫌悪くしてるわけにいかないでしょ、ッ…」
時折零す吐息に色が混じるのが、なんかたまんねー、って思う。嫌だやめて、なんて言葉とは裏腹に、腰が浮いてるのがすげーエロい。
「ホントに?」
「ホントに、ッ!…だから、じょ、すけくん、やめ…」
やめて欲しいなんて口先だけで、ななこさんの身体は俺の手に吸い付いてくる。内腿を撫でれば、下着越しでも濡れているのが分かった。
「じゃあ、俺だけのだって…ななこさんは俺のだって、わかるように…言って。」
こんな濡らしてるのは、俺だからだって、俺以外には身体を開かないって、分かってるけど、信じてるけど。
「そ、んなの…恥ずかしい…」
「…早く。」
彼女はおそるおそる俺の首にその細い腕を回し、そっと耳元に唇を寄せた。
「好きなのは、ッ…仗助くんだけ…だよ…」
言い切ると同時に指先を沈めてやれば、可愛らしい悲鳴と共に背がしなる。いつもより声が大きいような気がするのは、気のせいだろうか。
「…ねぇ、乱暴にされんのが好きなの?」
「…ち、がっ…ぅあ、ッ!」
「違わないでしょ?…気持ちいいくせに。」
すげー濡れてる、とわざと音がするように指を動かせば、彼女はまた可愛らしく啼いた。
ねだるように揺れる腰がホントエロくって、前戯もそこそこに俺はななこさんの身体を割り開く。
「…ッう…じょ、すけく…ッ、…」
「…なに、ななこさん…」
俺の首筋に抱きついて、耳元に唇を寄せたななこさんは、乱れる息の合間に小さく「すき」と呟いた。煽るなんてズリーの。
「…あー…もー…ッ!ホント、ガキみてーで嫌なんスけど、ッ」
ぎゅう、と彼女をきつく抱きしめる。奥のイイトコロが擦れたらしいななこさんは、色っぽい声を上げながら俺の背を抱き返した。
「…他のヤツなんかと、一緒にいないで…ッ、俺といて…」
仕方ないことだってわかってるけど、できるなら、何処かに閉じ込めてしまいたい。ぐちゃぐちゃに掻き回して、俺しか見えなくなって。なんて幼稚な独占欲を唇に乗せながら、何度も何度も、彼女を貫いた。
*****
「…じょ、すけくん…」
「…ん、」
名前を呼ばれて視線を彼女に向けると、ななこさんは気怠げに身体を起こし、俺の額に口付けた。
「…ごめんね。」
「…なんで謝るんスか。」
むしろ謝るべきは俺だ。勝手にヤキモチ妬いて、身勝手にセックスして。 もっと優しくしてやりたいのに、この人を目の前にすると、どうしてか素直じゃあいられない。
「…いや、なんか、やっぱり…分かってあげられてないのかなって。」
細い指先が、優しく俺の髪を撫でる。わかってないのは俺の方だ。本当は、恋人なんだしななこさんを信じてなきゃいけないのに。
あぁ、なんで上手くできねーんだろ、俺。
自己嫌悪に苛まれて溜息を吐くと、ななこさんは俺がまだ怒っているとでも思ったのか、神妙な顔でこちらを見つめた。
「不安にさせてごめん…って、なんか普通に逆っぽいね。」
言いながら笑うななこさんに、思わず言葉を返す。
「それは俺が女々しいって言いたいんスかアンタ…ッ!」
実際問題、自分でも驚くほど女々しいのだけれど、いざ言われてしまうと図星だからすげー恥ずかしい。
「でも、そんなに好かれてたんだって、…ちょっとびっくりした。」
柔らかく笑いながらそんなことを言われて、頬が熱くなった。俺ばっかりが好きなだけだ、って言われてるような気がして、少しばかり不安になる。
ななこさんは俺の表情に気付いたらしく、両手で俺の頬を挟み込み、そんな顔しないでよ、と言った。
「…好きだよ。仗助くんが、世界で一番。」
「…うん。」
俺も、と呟いた言葉は、彼女の柔らかな唇に飲み込まれた。
20160825