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転んでもただでは起きない

※仗助企画の続き。
ななこさんの風邪が移った。

*****

ピンポン、とインターホンが鳴る。
だるい身体で玄関まで行くのが面倒なので、居留守を使ってしまいたい。でも宅急便だったりした日には母親に怒られるだろうかと思い直して、やむなく玄関先まで歩く。
頭がくらりと揺れて、あーこれマジ熱あんなーと、額に手を当ててみるけど、全身が熱くてよくわからない。

「はーい…」

「仗助、大丈夫?」

インターホンから聞こえてきたのは大好きなななこさんの声。

「…大丈夫っス。心配かけてすみません…」

インターホン越しにそう返す。
髪はキマってないし、風呂だって入ってないし、パジャマだし、逢いたいけど会いたくない。
この間のななこさんもこんな気持ちだったんだろうか。

「私の時に玄関壊してまで入ってきたんだから、まさか開けないなんてことはないよね?」

そう言われてしまっては、開けざるを得ない。
やむなく玄関に手をかける。開け慣れたはずのドアが重い。

「…私には怒ったくせに、自分は黙ってるとか駄目でしょ?」

俺を見るなりななこさんは盛大に溜息を吐く。お見舞いに行ってまんまと風邪が移るとか、マジ情けなくて言えなかった。

「…スンマセン…」

「まぁ、親御さんいるから大丈夫だろうけど…、ご飯は食べれてる?」

「大丈夫っス。」

ななこさんは心配そうに俺を見上げて、やっぱりしんどそうだね、と小さく呟いた。

部屋に戻って、ベッドに座る。
本当は横になりたかったけど、ちこっとだけ格好付けたくて体を起こしたままにする。

「この前仗助が買ってきてくれたプリン、美味しかったから。」

ななこさんは、ベッドの傍に腰掛けて、俺がしたのと同じようにプリンを食べさせてくれた。なんか子供扱いされてるみたいですげー恥ずかしい。

「…一人で食えるって…」

「…そ?じゃあ…はい。」

あっさりと渡されてちょっとガッカリする。
プリンとスプーンを受け取ると、ななこさんは「台所少し借りるね」と言って部屋を出て行った。俺はそばにいて欲しいのに。

「…仗助、食べれた?…」

「…やっぱり食べさせて。」

「…仕方ないなぁ…」

戻ってきたななこさんは、俺のワガママを柔らかな笑みで受け止めてさっきと同じようにプリンを食べさせてくれた。「あーんして?」なんて可愛らしい台詞を吐いて、赤い舌を覗かせて。

なんでかわかんないけど、その姿にめちゃくちゃ唆られた。

熱のせいかもしれないけど、なんかすげー、今、ななこさんとシたい。

「…全部食べられたね。それじゃ、はいこれ。」

さっき作ってくれたであろう氷嚢を額に当てられる。俺の思考が漏れていて、頭冷やせって言われてんのかなぁなんて思うけど、これっぽっちじゃ俺の熱なんて全然冷めなくて。

「…ね、ななこさん。」

吐き出した声は熱っぽく濡れて、まるで情事の最中のようだと思う。熱くなってるのは俺だけなんてズルい。

「…どした?横になる?」

支えようと伸ばされた手を掴んでベッドに引き摺り込む。ひゃあ、なんて間抜けな声を上げて、ななこさんは俺の上に転がった。

「ね、汗かくとォ、熱下がるって言うじゃあないっスか。」

俺の視線で言いたいことを察したらしいななこさんは、逃げ出そうと身体を起こす。
逃がさないっス、と言う代わりに掴んだ手に力を込めた。

「俺はダルくって動けないんで、ななこさん自分で慣らして…乗って。」

「…病人にそんなことできません。」

ぎゅうと、氷嚢を押し付けられる。
今度は本当に頭冷やせよってことだろうけど、こんなんじゃあ冷えないくらいに、俺はもう熱くて仕方なくって。

「…俺が寝込む羽目になってんのは誰のせいっスかねぇ?」

「…う、」

「まさか自業自得だなんてヒドイことは言いませんよね?」

熱が下がるまで側にいてなんて可愛いこと言って俺の手を離さなかったくせに、とからかえば真っ赤な顔で俯いて。
それで俺が煽られてるなんて思ってないんだろうかこの人は。

「…熱、上がっちゃうよ…?」

「…もう十分上がってますから、あとは下がるしかないっしょ?」

あぁもうホント、俺の身体どうしちまったんだろう。早くななこさんが欲しくて仕方ない。風邪が移ったら困るから、抱きしめて首筋に口付けた。

「…ほんとに、大丈夫?」

「ななこさんがしてくれたら、風邪治る気がするんスよねぇ?」

ななこさんはすんごい困った顔をしているけど、それがめちゃくちゃ色っぽい。

「…じゃあ…仗助は寝てて。」

とん、と肩を押されたから、されるままにベッドに転がる。
仰向けの俺の上にななこさんが跨っていて、それだけでなんかもうエロい。
こんな体勢になったことなんてないから、すげー新鮮。まるで俺が襲われてるみたいな。

「…いつもと逆っスね。」

もっと元気だったらもっと楽しいんだろうなー、勿体無いことしたかな、なんて考えがちらりとよぎるけど、普段だったらななこさんはこんなことしてくんないだろうなって思って自分を納得させる。

「…終わったら、ちゃんと大人しく寝るんだよ?」

汗ばんだ俺の肌に手を這わせるななこさん。
捲られた腹部が外気に晒されて冷えていくのが解る。

「…ななこさんがちゃあんと終わらせてくれたらね。」

「意地悪言わないで。」

ちゅ、と脇腹に口付けられて、身体がびくりと跳ねた。触られてもないのにしっかりと勃ち上がっているのが自分でもわかる。早くななこさんの中に入りたいって、俺の気持ちを代弁しているみたいだ。もしかしたら逆かもしんないけど。

「…ね、俺…我慢できねーっスよ…」

「…ん、すごい…熱いよ仗助…」

ズボンと下着を下ろして、ななこさんの冷たい指先が聳り立つ俺自身を握り込む。
ちゅ、とリップ音と共に彼女の唇であろう柔らかい感触。
咥え込まれる様が見たくて身体を起こそうとしたけど、熱の所為か上手く起き上がれず、諦めて瞳を閉じた。

「う、…ッは…」

くらくらする頭に、ななこさんから与えられる快楽が染み込んでいく。ただでさえ熱い身体にどんどん熱が籠っていって、ぐるぐると渦巻く。ななこさんの舌が俺に絡みついてる、って考えるだけでもうやばい。

「…仗助、大丈夫?」

唇を離して心配そうにこちらを伺うななこさんの吐息が当たるのでさえぞくぞくしちまって、濡れた声が抑えられない。

「…っは、やく…ななこさ…」

ねだるように見つめて腰を揺らせば、彼女はくすりと笑って「少し待ってね」と身体を離す。
カバンをごそごそと探ると、見知った小さな袋を手に戻ってくる。なんだってそんなモン持ってるんだよ、と聞くよりも先に再び冷たい手で握り込まれた。

「…ん、ッ…は…」

手際良くコンドームを被せると、ななこさんは下着を脱いで俺に跨った。ほんのりと恥じらいに染まった表情を見上げていると、襲ってんだか襲われてんだかわかんねーなって思う。

「…仗助…」

「…スカートも、脱いでよ…」

「…やだ。」

スカートに隠れて見えないけど、くちゅ、と小さな水音と共に、ななこさんの秘部が俺に押し付けられるのがわかる。
全然触ってないのに、音が聞こえるくらい濡れてるなんて、どうして。

「…すげ…濡れてるんスね。…触ってもないのに…」

「…っん、仗助がいけないんだよ…ッ…」

「…っうぁ…」

ぐぷ、と先端がめり込んでいく感触に思わず声が出てしまう。ななこさんは俺の上にゆっくり腰を下ろしていくけど、流石にキツいようで時折動きを止めて苦しげに溜息を吐く。
もどかしくて気持ちよくて、無理矢理押さえ込んで貫いてしまおうかと手を伸ばしてななこさんの腰を掴むと、「病人はおとなしくしてて」と振り払われた。

「…やッ…と、入っ、た…」

ななこさんは俺の腹の上に手をついて少し息を整えて、それから腰をゆっくりとスライドさせはじめる。息を乱しながら俺を見つめて、腰を振る様はひどく扇情的だ。

「…すげ…ななこさんッ…熱い…」

「…じょーすけ、気持ちい…?」

ななこさんは腰を動かしながらついていた手を滑らせて俺の乳首をその細い指で摘み上げた。びりびりとした刺激に腰が跳ねる。

「…ぅあ…いい、気持ちい…っ、ス…」

力の上手く入らない手でななこさんの腰を撫でると、彼女はいつもみたいに可愛らしく鳴いた。

「ひゃ、…ん…ッ、だめ、…今日はッ…私がするの…」

ぐりぐりと押し付けられて、射精感が込み上げる。籠った熱は逃げ場を求めて渦巻いて、もう爆発してしまいそうだ。

「…ななこさ…ぁ俺ッ…もう…出ちゃ…」

「…ん、いいよ…ッ…」

切羽詰まった声を上げれば、ななこさんは俺を追い立てるように激しく腰を揺する。
ななこさんの腰を掴んで思いっきり突き上げて、最奥で達した。

「…ぅあッ、くっ、…ッ、あ…!」

びくびくと震える俺を愛おしげに抱き締めると、ななこさんはゆっくりと腰を持ち上げて俺から離れる。

「…仗助、可愛い。」

「…っは…ぁっ、は…」

荒い息を吐く俺の額にそっと口付けて、宥めるように優しく撫でる手。

「…疲れたでしょ、寝ちゃっていいよ。」

「…ぅ、スンマセン…俺…」

自分だけ出して終わりなんて、すげー情けない。俺はめちゃくちゃ気持ちよかったけど、ななこさんは全然良くなかったんじゃないかって思うと、ワガママ言ってしまったことを今更ながら後悔する。セックスのことしか考えてない身勝手な奴だって嫌われたらどうしよう。

「…ゴメン…俺のこと、嫌いになんないで…」

ぽつりと呟くと、ななこさんはびっくりしたように目を見開いて、それからそっと、俺の手を取った。

「…何言ってんの、大好きだよ仗助。だから心配しないでおやすみ。」

柔らかな声に促されるように瞳を閉じると、ななこさんの指先が俺の髪を梳く。
意識を手放し掛けた俺に、「早く元気になるんだよ」と優しい口付けがひとつ降ってきた。


20151020


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm