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こんなに好きになるなんて

「ななこさん、今から会えませんか?」

彼氏の仗助くんから、突然電話があった。
まだ付き合い始めたばかりで、こんなに急に会おうなんて言われるのは初めてのこと。

「いいけど、どうしたの?」

何か急な用事でもできたのかと訝しむ。
電話で済む話なら今聞いてしまえばいい。
会いたくないわけじゃないけど、彼は学生で、もうすぐ陽が落ちる。いくら男の子とはいえ、夜間に歩かせるのはいかがなものか。

「会ったら言います。んじゃ、今から行くんで待っててください!」

慌てた様子で電話は切れる。
多分着くまで30分くらいだろう。私は今から作れる2人分の食事の献立を考えながら台所に向かった。

*****

ピンポン、と軽快なチャイム音が響き、彼が来たことを告げる。

「はーい。いらっしゃい。」

「スンマセン急に。上がってもいいっスか?」

学校帰りに急いで来たのか、頬が赤い。
普段は休みの日に会うことが多いから、学ランのままの姿は見慣れていなくて新鮮な感じがする。大人びて見えても年下なんだなあと思う。

「どうぞ。どうしたの急に。」

「…これ。」

突然差し出された小さな箱。
綺麗にラッピングされているところを見ると、どうやらプレゼントのようだ。
でも、私にはもらうような理由が思い当たらない。

「…くれるの?なんで?」

「ななこさんが俺と付き合ってくれて、今日で一ヶ月なんスよ。だから。」

頬を赤らめる仗助くんは、彼の言葉を借りるならグレートに可愛い。
一ヶ月記念日とかどこの乙女なのかと。それとも今時の高校生はみんなこうなのか。

「…ありがと。こんなの初めてだから嬉しい。」

付き合って一ヶ月なんて、誰にも祝われたことはない。素直な感想を述べると、彼は複雑な表情をした。

「初めてなのは嬉しいんスけど、俺が初カレってわけじゃないんスよね…」

そりゃ私だって、仗助くんくらいの頃だったら初カレだろうけど…と、なんだか複雑な気持ちになる。年上の女なんてやっぱり嫌なのかな。

「…うん…ごめんね…」

謝っても仕方ないことだけど、仗助くんがそんなに好いてくれていると思うとなんだか申し訳ない。

「ななこさんが謝ることないっス。俺が勝手にヤキモチ妬いてるだけなんで。」

「ん、でも私、何も用意してないし…。」

この可愛い彼氏にお返しをしなければ。
でも一体何をあげたら喜んでくれるのだろうか。

「あ、じゃあキスしてください!」

餌をねだる犬みたいに目をキラキラさせて、仗助くんは言う。
そんなものがお返しになるのか…と、高校生の純粋さに少々驚く。

「とりあえず、座ろっか。」

そのままでは唇に届かないので、仗助くんに座ってもらう。
言われるがままにソファに腰を下ろして、期待のこもった瞳をする彼は本当に犬みたいだと思う。
餌を前にお座りと、待て。

「目、閉じて。」

緊張した様子でそっと瞼を下ろす仗助くん。
初めて間近で見る彼の顔は、とても綺麗だと思う。なんだこの長い睫毛。うらやましい。

「…ななこさん?」

見惚れていると、仗助くんが不安げに名前を呼ぶ。瞳は閉じたままのところがまた可愛い。

「…ん。」

彼の頬を両手で包んで、そっと口付ける。
分厚い唇は思った通り柔らかくて、気持ちいい。
感触を確かめるように2、3度軽く唇を重ねる。緊張が解けて吐息を漏らしたところに舌を差し入れた。

「…っん…!」

彼は少し驚いた様子だったけど、すぐに舌を絡めてきた。
大きな手が、背中に回される。お互いの体温が同じになるんじゃないかと思うくらいに密着して、キスを楽しむ。

「…ごちそうさま。」

リップ音を立てて唇を離すと、仗助くんは真っ赤な顔で熱い息を吐いた。

「…っななこさ…、俺…っ…」

ぎゅっと抱き締められる。
太ももに硬い感触を感じて、彼が言おうとしていることを察する。

「…しよっか。」

首筋に腕を回して引き寄せながらソファに横たわる。私を押し倒すような形になった仗助くんは、ひどく真剣な表情をしていた。

「…ななこさん…好きです…」

絞り出すような吐息交じりの声が色っぽい。
ストイックな学ランと色気のギャップが余計に唆る。

「…んっ、…」

仗助くんの熱い掌が、脇腹を撫でる。
服の裾から滑り込んできた手は、そのまま胸へと愛撫していく。

「寒くないっすか…?」

服を捲り上げて胸元に舌を這わせながら、仗助くんが心配そうに見つめる。

「っん、大丈夫…っあ、…」

むしろ熱い。舐められて撫でられているところから、熱がじわじわと染み込んでいく。

「そんじゃ、脱がしますね…」

胸の頂に唇を這わせながら、器用にスカートのホックを外す。そのまま下着まで一緒に下ろされてしまう。

「っや…、恥ずかし…よ…」

膝をぎゅっと合わたけれど、仗助くんの手によって難なく割り開かれてしまう。
指を這わされると、くちゅりと粘着質な音がした。

「…すげ…濡れてる…」

そのまま指が入ってくる。探るようにゆっくりと掻き回されて、思わず腰が浮いてしまう。

「…やあっ、…も、…ちょうだい…」

優しい愛撫がもどかしい。
早く貫いて、仗助くんでいっぱいにして欲しい。

「…そんなこと言われたら…もう余裕ないっス…」

カチャカチャとベルトを外す音がする。
しばらくごそごそと何かした後、熱いものが充てがわれる。
今時の子はゴムくらい持ってるもんなんだなぁ、なんて感心している場合じゃなかった。

「ああぁっ、や…ッすご…おっきい…」

仗助くんの質量と熱が、私の身体を満たしていく。ゆっくりと入ってくるたびに、勝手に身体が跳ねる。

「…ななこさん…、すげ…気持ちいいっス…」

全て納め切った仗助くんが、幸せそうに溜息を吐く。髪を撫でてくれるのがすごく心地いい。

「…わたしも…ッ、きもち…」

擦り付けるように腰を動かすと、仗助くんは色っぽい吐息を漏らした。

「…ななこ…さんッ…」

我慢の限界だと言わんばかりに、ガンガンと奥を突かれる。
わけがわからなくなるほど揺さぶられて、声が抑えられない。

「ひあっ、やッ、じょ…すけく…んッ…」

突かれるたびに出てしまう声の間に、必死で言葉を紡ぐ。

「…じょ…すけく…ッん、すき…っ…」

「…ななこさ、んッ…!!」

「やあっ、ああぁっ!!」

再奥まで打ち込んだ楔がびくびくと震えるのに合わせて、自分の腰も跳ねる。
ぎゅっと抱き締められると中も外も仗助くんでいっぱいで、このまま二人の境目がなくなってしまえばいいのにと思った。

*****

「…あっ、は…ッ…」

ずるりと引き抜かれる感触すら気持ち良くて、声が出てしまう。

仗助くんは荒い息を整えながら、優しく髪を撫でてくれる。

「…大丈夫っスか?」

「…だめ。」

そう答えると、すごく慌てた様子であちこち触られた。

「マジ?痛いとことかありますか?」

「やっ、ちが、あッ…やだ…」

「あ、スンマセン!」

仗助くんは普通に触っているつもりでも、気持ち良くてどうにかなってしまいそう。どうしちゃったんだ私の身体。

「も、仗助くんいなきゃ生きてけない…」

甘えるようにそう言うと彼はびっくりしたように目を瞬き、その後すごく嬉しそうに抱き着いてきた。

「大丈夫っス!もう離しませんから。」

「…うん。」

ぎゅっと抱き着くと、仗助くんは何かを思い出したらしく、イタズラっぽく笑って言った。

「…一カ月記念、充分すぎるほどもらいました。…ありがとうっス。」

お釣りです、と言って仗助くんは何度もキスをくれた。


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm