※attention!
生存院設定。
承太郎、花京院とは仲良しだけど、二人は何も言わずにエジプト行っちゃって、無事に帰ってきた花京院が家に遊びに来たっていう御都合主義でお願いします。私が書いたので、ナチュラルへんた院です。
「あれ、ななこ。どうしたんだい?これ。」
「え?あ…」
私の机の上を見つめながら、不思議そうな顔をする花京院くん。
「君、タバコなんか吸うんだっけ?」
「あー、うん…」
パッと見灰皿に見えないものを選んだ。タバコとライターは引き出しにしまってある。
匂いだって気にしている。ママにだって気付かれていないのに、流石は花京院くん。
「…どうしてタバコなんて?」
「…みんなが、いなかったから…」
意味もわからないままただ置いて行かれた私は、いつもと同じ空気を探して、承太郎の匂い…同じ銘柄のタバコに行き着いた。
「なんで、ばれたの?」
「だってほら、デスクマットが焦げてるし。」
指差した先には灰を落としてしまったデスクマット。まぁるく溶けてしまったそれだけで、タバコとばれたのか。ちゃんと隣にアロマキャンドルを置いて誤魔化したというのに。
「…流石、なんでもお見通しだね。」
花京院くんにはかなわないや、と笑えば、彼は真剣にこちらを見つめて言った。
瞼の上に、私の知らない傷がある花京院くん。
「…ね、ななこ…吸ってみてよ、タバコ。」
そう言われたので、引き出しを開けてタバコを取り出し、灰皿を一緒に手元に寄せる。
わずか2ヶ月で、一箱と少ししか吸っていない私は、まだ慣れない手つきで一本取り出す。
花京院くんは私を、黙ってじっと見つめている。視線に緊張して、中々火がつかない。ライターを何度もカチカチと鳴らす。
「…これで、いい?」
ふっ、と白い煙を吐く。
承太郎みたいにカッコよくならないことは百も承知。だけど、まるで承太郎が横にいるみたいで、少しだけ寂しさが紛れたんだ。
紫煙を吐いた私の唇に、花京院くんは指先でそっと触れる。
「…戻ってきたんだから、もういらないよね?」
見つめる瞳は真剣で、なんだか言葉が出ない。花京院くんは唇に触れた手はそのままに、逆の手で私からタバコを取り上げて灰皿に置いた。そうして指先にちょっと力を込めて私の唇を開かせる。
「寂しくなったら、僕が埋めてあげる。…それとも、承太郎じゃなきゃ不満かい?」
私が答えを言うよりも早く、花京院くんはその大きな口で私の唇を塞いだ。
「…っ…!?」
一瞬だけ触れ合った唇にびっくりして目を見開く私を見て、花京院くんは楽しそうに笑った。
「キスの時に目を閉じないなんて、マナー違反じゃあないかい?」
「…同意も得ずにキスする方が、よっぽどマナー違反だと思うんだけど。」
「…それもそうだね。じゃあ、お互い様ってとこかな。」
そういってひとしきり笑うと、花京院くんは不意に笑顔を引っ込めて、私を見つめる。
「じゃあななこ、今度はマナーに則っていこう。…キスしても、いいかい?」
私は黙って、瞳を閉じた。
再び合わせられる、唇。
さっきと違ったのは、花京院くんの舌が私の口の中に入ってきたことと、私が花京院くんにしがみついてしまったこと。
「…っは…ぁ…」
縋り着くようにして呼吸を整えていると、私の頭の上から、花京院くんの声。
「承太郎と同じ匂いのはずなんだけど、君の匂いと混ざると、やっぱり何か違うね。」
「…なにそれ、」
「コーフンする、…って言ったら、引くかな…?」
答えを待たずに、また口付けられた。
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bkm