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「みなちゃんの時も、ルイさんの時も…財前君に告白した女の子は皆ユウ先輩に告白を目撃されて振られてるんですっ!」



ヒステリックにそう叫ばれた
なかなか奇妙な言い訳だと思った

しかし、確かに心当たりがある訳で


女の子達が告白するのは決まって早朝、光の家の前
しかも運悪く私は「いってきまーす」と暢気な声を上げてパンをもしゃもしゃしながら登校しようと扉を開ける瞬間だった


「好き「いってきまーすっ!」……です」



と言った具合に、勢いで「好きですっ!」と言いかけた彼女達の台詞を鮮やかに私はかっさらって行ってしまうのだ

当然、気まずさは尋常じゃない。
人前で好きとか言われるのも言うのも嫌いな光が私と言う他人の登場によってその告白に素直に答える訳もなく、結果は決まって「ごめん」の一言


ようやくもしゃもしゃしていたパンを飲み込むと今日もやってしまった。と後悔の波が押し寄せる



そしてまた、今日みたいに女の子に呼び出されるんだろうなぁ。と思いつつ、憂鬱になりながら学校に来るのだ




「皆が告白してる時ばっかり…ユウ先輩はタイミング良く現れるなんておかしくないですか?」
『う…確かにそうなんだけどね…?』



こっちだっていつも同じ時間に登校している訳でありまして
皆が朝に告白なんかしなければ良い話なだけであって
私の登場を回避する方法なんていくらでもあるのに



「私、まだ財前君に告白してないんです」
『は、はぁ…』



女の子はスカートを握りしめて言葉を紡いだ


「財前君のこと、本気だから…だから」



明日の朝はいつもより遅い時間に家を出てください―







「お願いします」




女の子は去って行った



なんとも言えない私は一人取り残されながら空を仰いだ








 







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