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いつもの時間
私は制服に身を包み玄関にある下駄箱に張り付いた鏡をただぼーっと見つめていた

早くこの空間から脱したいのに
扉の向こうに光や昨日の女の子が居るのかと思うと溜め息をつく他無かった


光が彼女を作らない理由は確実に私ではない
私だってそうだった


去年の夏、幼馴染みと言う関係をどうしても辞めたくて
壊れる事を承知で光に告白をした



"ずっと好きだったんだ…光……"



光が私にだけ少し優しいのは知ってたし
幼馴染みだからなんでも知ってて、誰にも相談出来ないことを私にだけ相談してくれてて


特別だとずっと思ってた


だけど



"ごめん、ユウのこと一度もそう言うんに思ったことない"



返って来た言葉は抑揚のない冷たい言葉で
もう少し優しく言ってくれれば良いのに光は無表情で言い放った



"部活に集中したいから。とかなんとか言えばいいじゃん…"
"あ、ホンマやな。気ぃつかへんかったわ"



あれは誰に言われたのでもなく
本気で光の中に私の存在は無くて
本気で恋愛対象なんかじゃなくて


姉…の様な存在だったのかな…?



唯一私だけ光って呼べてたのに
今じゃもう名前を呼ぶ機会さえ無くなって

部活で忙しい光に
勉強で忙しい私は同じ学校に通っているのに全く顔を合わさなくなった




『もう、そろそろかな?』


時計を見ればさすがに出なければやばい時間で重たい腰を上げる


扉をゆっくりと開けて外を見渡す
光の家の前にはもう誰も居なかったが
扉を全開にした瞬間


通学路に仲良さげに歩く2つの背中を見つけて、忘れかけていた胸の痛みがまた胸中に響き渡った








 







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