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 新八が銀さんの下の毛に興味を湧いて触らせてとお願いする話

「あのおー新八くぅんー」

名を呼ばれてハッとする。もしかして気が付いていた?と目を泳がせたら無言で告白する事になる。
驚いた反応は見せてはならない。呼ばれた時はドキリとしたが、新八はいつもの調子でなんですか、と答えた。
不安そうな顔をした銀時が少年を見据えている。眉間にしわを寄せて薄気味悪そうに身を縮めていた。社長椅子にもたれて今週のジャンプを見ていた彼が、サッと分厚いそれを上に持ち上げて問うた所。ジャンプが視界を妨げているかと思っていたが、視線というものを感じるタイプのようだった。不覚だ、そう知っていれば自分だって見つめなかったのに。

「はい、どうかしました?」

先ほどの「なんですか」が聞こえていなかったのだろうか、と新八は二度目の返事をしてみる。薄気味悪そうにする銀時の表情は変わらないで、まだ眉間のしわは取れていない。

「あのさぁ、ずっとね、ずーーっとずっと視線感じるんだけどぉ。何なの?」

あぁ、やはり気が付いていたか。穴が開くほど見ていた訳ではないし、チラチラと顔ではなく別の個所を見ていたというのに。ちょっとした怪しい動きでも、逃さずキャッチできる鋭い洞察力は半端ない。何もせずぼうっとしているようでいて、実は周りを見渡している奴だ。

「え、いえ見てませんけど」
「顔に出てるよーちみぃ。マジで何?分かってるんだから言っちゃってよ。隠されると気になって夜眠れなくなっちゃうよ。しかも」

銀時はやはり気が付いている。観念して新八は彼を見た。

「なんで股間ばっか見てんの」

やはり知っていたのか、と意を決し新八は銀時の前に立った。今までソファに腰を下ろしていた自分だったが、銀時と向かう合うように立ってすうーっと深呼吸をして心の準備をすると、銀時はジャンプを机の上に置いて見上げる。

「あっ、あの・・・・!!銀さんにお願いがあります!」
「はいーなんでしょー」
「さ、触らせて下さい!」
「は?」
「こっ―――いや、えっとぉ・・・違うっ・・・―――ぅを・・・」
「はぁ?」
「い、陰毛を・・・」
「は――・・はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!???」

混乱して少年の話を漏らさず聞いてやった。何故そういう結果に行きついてしまったか分からないからだ。

あれ、思春期の男の子の反応ってこうなの?俺の時はこんな事なかったよ。先生のアソコの毛を触りたいとか、全然思わなかったけど?先生に向かって「触らせて」とか言おうとか全く思わなかったよ!?
時代は変わったなー、身近の大人の毛とか触りたいとか言うんだ、最近の子って。理解できん。

「えーとつまり、大人になったらこうなるんだーって?今から実感したくて?だからわざわざ触りたいって事?」
「はい」
「はい、じゃねーよ馬鹿が。あのなぁ、人は20歳超えたら強制的に大人になるの。なりたくないって思ってもなりたくても、20歳になるまで待たないとならないの。成人式迎えて写真撮ったら大人への仲間入りなの。それともお前が言ってるのは、中学生の癖に煙草とか酒たしなんで気分的に大人だぜーってはっちゃけたいって意味?成人式の中継で馬鹿やって逮捕される大人になりたてのガキ等と同じになっちゃうよ。」
「―――どっちもです」
「・・・どっちっもって?」
「今から大人ってこういう感じなんだーって気分になるのと、大人びた事して優越感に浸りたいのと、両方です・・」
「・・・・マジで言ってる?」
「マジです」

銀時はここまで決意が固い新八に呆れた。

「うーん・・・・」
「やっぱり無理ですか?」
「――なんでそこで“やっぱいいです、僕変な事言いました”じゃないのかが怖いっす。あのね、そんなに触りたいなら姉貴のでもモサモサでも触ればいい事じゃんよ。なんで俺なの?なんで男の俺なの?しかもめっさ年上の俺なのー!」
「すみません」

頭痛がするのは気のせいだろうか?しかし嫌と断れば、ただでさえ繊細な年齢なので傷つけてしまうかも知れない。どうするか悩んでも、彼の眼は変わらなかった。観念して銀時は続ける。

「――――・・・分かった。けど今は駄目だぞ。ここには神楽っていう女の子がいるんだから、昼間にジッパー開けてはいどうぞなんてできねーから。今夜泊れ。まずは神楽が寝てからだ。それでいいだろ」
「はい!!」
「なんでそんな嬉しいの?」

パアと明るい顔をして見せる子供の反応が怖い。
それから新八は上機嫌で夜を迎える。神楽にはたっぷりの飯を炊きおかわりさせてやった。「どうした新八、なにか良い事でもあったアルか?」と聞かれてにやけた顔でうん、そうなんだとはっきり返事をする。銀時と言えば余り食は進まず、わいわいする子供たちを見てまた頭を抱えた。

風呂に入って着替えて出てくると、新八は顔色をパアと明るくさせる。神楽はその意味が分からなかったが、布団の準備をしながら聞いてみた。風呂に入った後は寝間着になるのに、今夜は寝間着に着替えずまた昼間と同様インナー姿で出て来たから。用意されていた着替えは新八が用意してくれたもので、すでに洗濯機には今日一日着ていた方が放り込まれていた。

「銀ちゃんどこかお出かけするアルか?」
「いんや、どこもいかねーよ」
「じゃあなんで寝間着じゃないネ」
「うーん・・・今夜はこのままの気分」
「ふーん。新八、今日どこに布団用意するつもりネ?」
「あーえとぉ・・・今夜はひと肌恋しいから銀さんと寝たいなーいいでしょ?」

チラリとそう見やって目が合った銀時は激しく首を振って断る。夜にも関わらず、近所迷惑も考えずに夢中に叫んだ。

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!ふぅざけんなオメー!!男の子なんだから一人で寝なさい!!お母さんにいつまでも甘えちゃいけません!男の子なんだからっ」
「お母さんいいでしょー」
「誰がお母さんだ!」
「いや、今あんた自分でお母さん言ったじゃないですか」

夜も耽って神楽は床に入った。ちょっと名残惜しそうに名を呼ぶが、自分にとっては来れ!運命の瞬間!!と寝る時間帯に差し掛かるにも関わらず興奮が冷めない。居間には2人きり。テレビの音声は神楽が床に入るのと同時に小さくした。

12時を過ぎた。この時間帯までテレビを見る事はないので、興味もなく楽しみにもしていないお笑い番組をただぼうっとして見た。しかしいつまでもこうしてはいられないので、そろそろと決心をして腰を上げる。

「あのねー新八くん。今女の子寝てるから。うちの子寝てるから。静かに触って頂戴ね」
「はは、は、はい」
「あと触ったらちゃんと手洗うのよ」

見られながら腰ひもを緩めてジッパーを下げるというのは不思議な感覚。ジジジ・・・と小さな音を立てて、かすかに下着が見えて、思春期真っ盛りの少年の胸はときめいた。前に出てそうっと下着のゴムひもの部分をグイと引くと、待ち構えていたのは白い毛。銀時は瞬時にそれを自分側に引いて、赤くなりつつも情けない顔をした。

「白い・・!!」
「当たり前だろ。上が白くて下が黒かったらおかしいじゃねーか」
「手、入れてもいいですか」
「手の甲の方ね。手のひらの方駄目だかんね」
「は、はい・・・」

そうっと、ゴムひもの中に手を入れた。ドキドキが止まらない。てかすげー暖かい。弾力のある腹部に興奮した。

「わぁぁぁぁ!!」
「新八うっさいよ」
「は、はい!」

ショリ。

硬い、ごわついてる。でもそれは周りとは違う白。いや白じゃなくて銀。

ショリショリ、と手の甲で感じるそれの感覚にぼーっとしながら、だけどきちんと動かして堪能する。これが大人の感覚なんだ、と。物凄く感動した。

「あのぉー。もういいですかね?もう堪能しましたかね?」
「あ、あのもうちょっとだけ・・・」
「君も大人になったらこうなるから。20歳になったら大人ってなるから。残りは将来のお楽しみにしなさい」
「はい・・・」

はあーと重たい溜息を吐いてがっくりと項垂れた銀時は、もう寝る。と寝室へ向かった。何故かクソガキもついてくる。

「あの銀さん、もうちょっと下の方も・・・・」
「テメェいい加減にしろよ」

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