小説 | ナノ

 リコリスの中でおやすみ

「はいいらっしゃい〜、依頼?良いっスよ。とりあえず中で詳しい話聞きますんで」

突然の来客。玄関先のベルを押されて玄関で出迎えると銀時は彼を招き入れた。基本アポなしでも万事屋の依頼は引き受ける。「アポなしですみません」と言われたが、銀時はそれに手をブラブラと左右に振り「いやいいっていいって」と小さな笑みを見せた。そんな堅苦しい事前連絡等不要である。小さな依頼でも構わず引き受ける性質だから、電話や手紙等の事前連絡は不要だよ。と言うと客人は少し肩の力を抜きながら安堵した。つまらないものですが、と客人は銀時に片手に持つそれを見せると銀時は「気遣わなくていいのに」という顔色をした。

「え?土産?んなのいいのに。へえ店やってるんですか。え、甘味?頂きます!!」

手土産の白い紙製の箱が「ケーキ」だと知るや、銀時は笑顔で上機嫌になる。両手で受け取り、客人が勧めるのでテーブルに乗せたそれをその場で開封。中には多種なケーキが入っている。銀時の目の色が途端に輝きだし、光り輝き艶やかな宝石箱を見下ろした。カラフルな色合いを見せるケーキは、まるで銀時にとって宝箱と同じ位のもの。

「いや実はさ、医者に糖尿の気があるから控えろって言われてるんスけど、俺大好きだから結構それ聞いてなかったりして。ははは」

笑い話に進み、客人は完全に緊張がとけていた。実は依頼というのは、この甘味の試食と言う。店に出す新メニューで、自分達ではどうも気持ちが入りすぎているから身内の意見がどうしても控えめになるのだとか。こうなれば第三者の意見を。という事で万事屋に依頼しに来たと。銀時は「それなら話が早い」と答え、小さな皿とフォークを用意して目を輝かせた。

ケーキは一種類ずつ入っている。昼間の明かりに反射する艶やかな表面は銀時を魅了し、どれから手を突けたら分からなくて暫く悩むが、オーソドックスに苺のショートケーキを取り出した。皿に載せてフォークを差し込むと、フワリと柔らかいスポンジに挟まれた生クリームと苺の層がチラリと顔を出した。一口加えて堪能すると、頬に手を添えてリアクション多めに「美味しいー!」と喜んだ。

「苺のショートケーキ食ったらそこの店が分かるらしいよ。これ超うめー。間違いなく繁盛しますって。だってスポンジ柔らかくてうまいし。なんで?層作れてるのにすっげー柔らかい!しかも生クリーム甘さ控えめって所がいいね。これだと甘いのが苦手な子もパクパクイケるんじゃね?も一個食っちゃおう」



さて、ケーキ類をいくつか食べ終えたがどうも瞼が重い。

甘いものを食べたからだろうか?それにしたって夜寝る前にやってくる睡魔と同じものがまとわりついてくる。瞼をこすって、あくびをしてみるとますます眠い。カクカクと頭が前のめりに揺れて客人が介抱してやると、不安定な意識のせいで支えられた腕に身を預けてしまう。

客人がいるというのに強烈な睡魔には勝てず。ソファの上に横になって倒れ込み、ガクンと意識を解放して銀時は眠りに就いた。

「ターゲット捕獲。プランBに移行する」

客人は小さなイヤホンに向けてそう呟いた後、素早くテーブルに散らかるケーキの残骸や皿類を丸ごと紙箱に詰め込み、自分が来た形跡を消した。身を抱き起し肩に乗せて担ぐと、銀時を連れて万事屋を出る。




やがて銀時は目を覚ましたが、フワフワとした睡眠薬の残骸が残っており、身を起こした折フラついて再度寝転んだ。冷たいアスファルトの上。頭がボーっとして目覚めたての身体は無理に動かす事が出来ない。

「ふぅ〜ん・・・んうぅ・・・」

頬や身を置く腕、腹部や腰がむき出しになったアスファルト床のせいで冷えてしまっている。なんとか頑張って、銀時は腕に力を込めると身を起こした。大分意識が回復したというものの、頭の奥底にこもるフワフワ感が抜け切れず、揺らぐ瞼は不安定。アスファルトの床、壁、冷えた冷たい風が流れてきて、壁の隅には鉄格子がはめられた小さな窓がついている。そこから新鮮な風が漏れ、ここへ運ばれているらしい。横を向けばそこも鉄格子で、奥は暗くて見えなかった。

物音に気が付いたのか、やがて足音が聞こえて来た。
一つの足音というのは把握できるものの、それ以外は分からない。

「まだ薬が残っているらしいな白夜叉」

聞き覚えのある声がしたが、それが誰なのか分からない。
銀時はまだ眠くて仕方ないのだ。そして声をかけられたというのに当然返答する余裕もない。カクリ、とまた身を横にして、銀時は力を抜いた。目は開けているが意識がどうもハッキリしない。

「まぁいい。こちらとしては都合がいいからな」

鍵を開けられると、牢屋の一部が開くと覗き込むように身を乗り出しながら侵入してくる。抵抗なんて当然できないので、身を起こされると場所を移動する為に抱き上げられた。
まるで大切なものを持ち上げるように、背中と足元に腕を通すと抱き上げてそこを出て行く。何故自分がこんな冷たい所にいるのか。誰に抱き上げられているのか。声の主に心当たりがあるが、思い出せなくてモヤモヤしてたりとか。言いたいし聞きたいけれど、頭がぼうっとしているので今は無理なようだ。

柔らかくて寝心地の良いベッド。フワリとする所に身を横に倒されて、眠たい目をこすりながら、ふにゃんとよろけるような声を出して目をつむる。強い睡眠薬を与えてしまったなと思いながら、それでもこの状況を作り出してくれた今の時間を楽しむのが先だと後悔するのは後にした。

口づけすると無意識にそれに応える。舌と舌が絡み合い、互いの唾液を交換し合うと、今度は頬に、額に、閉じられた瞼にも口づけを落とされた。気持ちよくて、温かくて、柔らかい感覚にニコリと笑むや、目をつむり笑む銀時を見て彼は更に大胆な行動に出る。
首筋に舌を這わせ、時折吸い付き、そしてまた唇を添えた。銀時に苦痛を与えまいと入念な愛撫を繰り返してはたっぷりと愛でた。

「ふぅう・・・っうぅん」

目をつむりながらも銀時は反応する。徐々に衣服を脱がし、露わになってくる肌を眺めると下半身がどうしようもなく疼き出した。銀時の肌は白く、美しい。

柔らかい肌の上にはそれにそぐわぬ傷跡。腹は薄く割れ無駄な肉がない。形良い腹筋に指先を這わせれば、ピクリと身を震わせて悶えた。かぶりつく様に乳輪を回すように舐め、吸うと、また銀時が鳴く。甘噛みしたり舌をチロチロと先端だけ出して硬くなってくる乳首を転がしたら、大きめの喘ぎ声が漏れ出した。腰を震わせ始めたので、黒いパンツの上からそこを揉み拉けば硬くなってきているのが分かって来て、朧は胸の内で喜んだ。基本無表情ではあるもののその内側には燃えるような信念、野心を抱いており、それは決して表には出さなかった。
部下を使いここへ運んだはいいが、食べ物に入れた睡眠薬は強く効いていた。本来ならば睡眠薬というものは効果が出てくるのに約60分かかる。その軽い眠気を耐えると次の眠気は20分後。体温が低下し血圧が緩やかになる事で完全な睡眠に入る訳だが、銀時は部下が持ち込んだケーキを5つ程平らげたと聞いた。その間に効いてくる筈なのにとも不審に思ったが。

相手はあの白夜叉だ、常識的な展開を望んだら痛い目を見る。それはこの身を以って痛感していた。睡眠薬入りの甘味を5つも食せば、当然量も増えている筈だ。

「んう・・・」

今回も同じ。

10年前、攘夷戦争で見つけた白はいつまで経っても白いまま。
純白で、輝いていて。
青天の上を歩けばその髪の毛が一つ一つ揺れて太陽光を受けて反射した。
美しく強い白夜叉。
それを汚したくてたまらない。
気が付けば捕まってしまった蜘蛛の糸のように、振り向けば背後で首元に刃を添えている。そんな状況が欲しくてたまらなかった。

「あっ・・・」

朧げな意識の中無意識に頬をほんのり桜色に染めて反応してしまう白夜叉。
足に舌を這わせて厚みを味わえば、足の指先が反射的に丸まって筋が強張った。
インナーを脱がし、腰ひもを解いてパンツも下着ごとずらした。片足にひっかけてガバリと開けば、起き上ったそれが見て取れて、先端にキスをした後、ゆっくりと口の中にねじり込む。腰が震えてグワンと身が持ち上がると、銀時の硬くなったペニスが強引にねじり込まれた。

反応してるのがたまらなくて。それでも愛撫を繰り返し、少しづつではあるが漏れ出す汁を掬い取り、指に絡めて蕾を撫でるように塗りつけ、こねくり回し、自分の唾液を足して侵入させた。

「はぁう・・」

よく鳴く猫だ。

本当は意識が起き上っている方が面白そうだったので、わざとむき出しのアスファルトの上に寝かせてみた。起き上り自分の状況に驚き自分を罵りながらも反応し、絶頂しそんな己に苦痛の色を込めた白夜叉を見てみたかったが・・・この状況も悪くない。指を一本、肉壁をこする様に指を折り込んで上下に動かすと、腹部を抑えながら銀時がくねくねと腰を動かす。口の中で舌を動かし、吸い上げ、上下に激しめにディープスロートを繰り返すとますます銀時は意を震わせて喘いだ。

そろそろ腸液が漏れ出し、入口も開いてきたので自分も挿入の準備に取り掛かる。

銀時は起きないまま。

露わになった己の、痛い程に硬く、熱くなったそれを見据えると自分は興奮しているんだなと思い知る。指一本でどこまで進むか分からないし、途中で銀時が痛みで意識を回復させる事も予想された。だがもう後に引けない。今更身を引いてこの熱を発散させる方法等、目の前の美しい身体を見ながら一人で片づけるなんて思いつかなかった。

ゆっくりと身を進めてそこに宛がい、更に進んだ。
入口はとても硬く、狭かった。やはりあと数本指を増やしておけば良かったなとも思ったが、起きた所で無理強いしてやればいいと判断して更に進む。じわりじわりと、起きるか寝続けるかの瀬戸際。
カリが左右についたそれが入り込むと、あとは容易だった。苦しそうな声が上から溢れたが、先端だけ入ればあとは前後に揺れるだけ。

あとは本能のまま揺れ動いた。
自分の吐息だけが激しく聞こえてくる。銀時の閉じられた目を見やりながら、唇の柔らかい感覚を求め指を這わせる。熱く、ほんのりと色がついた唇はプルンとかすかな弾力に揺れ動いた。親指をねじ込んで、舌のザラリとする表面を犯し反対の左手は胸へ導かれる。

時折銀時は声を漏らしたが、前後に揺れ硬く狭い入口が次第に柔らかく、締め付けてくる事によりついに朧は果てた。何も準備はしてこなかったもので、避妊具を取り付ける事は忘れてしまっていた。
狭苦しいアナルのせいで最後の一滴まで搾り取られるようにゆっくりと抜き出すと、ポッカリと開いた穴からは吐き出した欲がチョロリと漏れ出した。

知らずの内に汚された。
それを後で知る時の白夜叉の顔や反応。
想像するだけで身が震えた。





銀時は万事屋の居間で寝ていた。テーブルの上、見てみれば何もない。新八に身を揺さぶられ起こされた時、「依頼人は?」と少年に尋ねたが。首をかしげているのを見てあれは夢だったのかと不思議に思う。
変な夢を見た、と新八に言うと内容を尋ねられたので正直に答えた。

「依頼人がケーキの試食頼んできて、それを食ったら次、すんげェ柔らかいベッドの上にいて。なんか身体もフワフワしてて気持ちよかった」

銀時がそう言うと新八は「はぁ?」と間抜けな声を出す。客が来た形跡がない事からして「夢ですね」と答えた。曖昧な事が多すぎて、とにかく気持ちいい感覚しか残っていないものだからそれに納得した。

しかし神楽が不思議な事を聞いてくる。夕食の支度をしてくれているみたいなので、自分も手伝おうと起き上った時だ。基本万事屋には必要最低限なものしか揃っていない。食器は3人で客用には客用のものを置いているのだが。

「銀ちゃん、お皿一枚足りないアル」

さてどういう事だろうか。客用ではなく、自分たち用の食器がないらしい。
銀時は心当たりがなくて、客用の皿を出せと答えておいた。

そして何故か体調がおかしい。腹がゴロゴロする。








++++アトガキ++++
犯行動機:クールなかっくいい朧さんを見つめていたら、カッとなってムシャクシャして打った。
(title:檸檬を齧って眠る様)
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