darling 2016/03/21 20:30

映画「ティファニーで朝食を」を観ました。1961年公開、出演はオードリー・ヘップバーン、ジョージ・ペパード。

恥ずかしながらオードリー・ヘップバーンの映画を観るのはこれが初めてでした。動いているオードリーを見て、ああこのひと本当に存在したのだなあと思いました。それまではまるで架空の人物というか物語の登場人物のような感覚で彼女を認識していたので。だって顔の造形が美しすぎる。迫力すごすぎる。

でも映画で見るオードリー・ヘップバーンは人間味があって、気品があるだけでなくとてもキュートで、本当に格好良かったです。瞼をぱちぱちされるのたまらん。あの大きな瞳に吸い込まれそうになる。作中で身に付けていたものはもちろんどれも素敵だったのだけれど、一等に似合っていたのは黒のシンプルなドレスに黒の帽子(白い飾り布が大きく垂れている)の格好だと思いました。お気に入り。あの冗談みたいにツバの広い帽子が似合うのなんて彼女以外いないのでは。オードリーの「darling」にキュンとしました。声も可愛いよね。

ストーリーはかなり原作に沿っていて見やすかったのですが、逆に原作読んでいないと分かりにくいのでは、というくらいテンポが早かった。小説読まずに映画を観ていたらたぶん私はちんぷんかんぷんだったと思う。概念とか考え方の描写多いし。

あと驚いたのは、あのオードリー・ヘップバーンですら、私の中に構築された「ホリー・ゴライトリー像」を満たすことができなかったということ。もちろんオードリーは素晴らしかったし映像化するならばきっと彼女以外にいなかったのだろうとも思うけれど、何かが足りなかった気がする。たぶんオードリーはキュート過ぎるのかもしれない。ホリーはもっと容赦なく男を惑わすような、一種の危険な香りが魅力のひとつであるから。オードリーは上品なのでとても娼婦には見えないしね。

私は小説のほうのエンディングが最高に、それはもう最高に格好いいと思ったのだけれど、映画はずいぶんと変えてたね。でもあれはあれで良かったと思う。「そう、こっちの終わり方も見たかったのよ」という感じ。腑に落ちる。でも原作が最高。

原作の、最後に、主人公が窓を見上げたときに「名無しの猫」が窓辺でつまらなそうに座っていて、その窓の清潔なレースのカーテンが揺れるの。舞い上がるときに彼は思う、あの猫も今では名前が与えられているのだろう。そして、彼女にも同じことが起きているといいと願うの。だめだ全然伝わらないと思うけどとにかくエンディングが最高に好みでした。あそこでホリーが飛行機に乗って行っちゃうから良いの! 思い留まっちゃダメなの! この煮え切らないハッピーエンド・イズ・ベスト。

ホリー・ゴライトリー信者になりそうよ。ああなりたいというわけではなくて彼女の存在をずっと愛していたい。心のヒロインである。



「ティファニーで朝食を」に収録されていた他の作品も読了したので次はその感想を書こうと思います。今日はこれにて。
あとオードリー版ホリーの絵を【絵】に上げてみました。らくがき。
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