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ポチポチと多分メールをした五条サンは何も言わずに歩き出す。行き先くらい教えろよ、とは思うけど、甘えん坊五条サンより私のが精神年齢高いはずなのでぐっと堪えてついていく。
身長差20p以上はあるだろうか、足のリーチの差でこちらは早歩き状態になるけど気にする様子もない。むしろそれに気づいて無視してしてるんだろう。トコトン性格が悪いやつ。後半は半分走るような形になった。

ガチャリとドアを開けると寝転んでる星漿体と呪霊にのっている従者。少し不安そうな顔をしている。
「おかえり」
「何?死んでるの?ウケる」
「生きてるよ、気を失ってるだけ、だと思うけど。こういうのは専門外だからなぁ」
「一応医者診せる?」
「あ、待って」
星漿体を抱えようとした五条サンを止めて間に入り、代わりに私がお姫様抱っこをする。

「年頃の女の子だし、私が運びます」
「あっそ」
「悟にはない気遣いだね」

50キロあるかないかの女の子、これでも鍛えてきたのだ。同じ背格好の私でも抱えることが出来る。
興味を失ったかのか離れる五条サンと、そんな彼を揶揄うかのようにニンマリと笑う夏油さん。

ふと、モゾりと腕の中が動いた気がしてそちらを見る。
長くて艶のあるまつ毛に縁取られた大きな目が、パチリと開いてこちらを不思議そうに眺めてくる。

「おはようございます。私たちは天内さんを守るために派遣された呪術師です」
「へ、あ……そ、そうか!ご苦労。歩けるから降ろせ!」

星漿体に従いゆっくりと彼女を降ろしてあげる。フラつく様子もなく無事立っている事から、大した怪我は追ってないみたいだ。彼女の大きい目が従者を探し、その視界に五条サンと夏油さんを入れた途端

「いや待て!あのグラサンと変な前髪もか!?怪しい、怪しすぎるぞ!」

シュバっとものすごい速さで私の後ろに隠れた彼女。
いや思ってたより元気だな!
五条サンと夏油さんの顔にピキピキと青筋が立つのが見えたが、私の腹筋はその程度じゃ耐えることは出来ないらしい。

「く、ふふふ、そうですね、怪しい…ふふ、ですもんね」
「お、お嬢様!その方達は味方です」
「黒井!!」

私の体を縦にしていた星漿体は、従者である黒井さんの言葉に安心したのかパタパタとそちらに駆けていく。表情がクルクル変わって可愛らしい女の子だ。

「何に乗っておるのだ?」
「これは前髪の方の術式です!!」
「その言い方やめてもらえます?」

前髪の方。前髪の方。
ただでさえ腹筋にダイレクトアタックだったのに、畳み掛けるように攻撃されてもう、声が出ない。
ぷるぷると震えながらも息を整えてると、バシりバシりと二度頭を叩かれた。夏油さんと五条サンだな、怪しいって言われたからって私に八つ当たりするなよ。

ヒーヒーと息を整えていたら話が進んだらしく、なんか学校に行くことになった。なんで?

「オマエ、あとで覚えとけよ」

黒井さんの運転する車に乗り込むときにいつもの五割り増し笑顔の五条サンにそう言われた。だから八つ当たりすんなって。
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