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朝。学校があるため何とか携帯のアラームに従って起きる。現在時刻8時。髪の毛乾かさなかったからぴょこぴょこ跳ねてる寝癖と格闘するも、寝癖のが強かったので今日は諦める。時間あんまないし。
まだ覚醒しきらない頭で昨日家入さんに教えてもらった学食に行く。やはり生徒数が少ないのか、学食にいる人数は10人も居なかった。

べしりと後頭部に平手打ちが入る。痛い。
誰だと恨みがましく見ると、そこには五条サンがいた。

「オマエ今日泊まり?」
「…はい」
「眠そ。ボサボサじゃん、ウケる」

眠くてふらついてたのを心配したのか、五条サンが私の腕を引いてくれる。

「白飯は?」
「少し食べる」
「ん。お盆持って」

言われるがままお盆を持ち、黒い背中についていく。五条サンが机にお盆を置いたので、私もその隣にお盆を置き座る。

「はよ」
「おはよう」
「おはざいます」

五条サンと夏油さんの会話をbgmに朝ごはんを食べる。今日は和食らしい。お味噌汁が寝起きの体に染み渡る。

半分くらいご飯食べて気づいた。え、このテーブル五条サンと夏油さんいるの?五条サンとはお世辞にも仲良いとは言えないし、夏油さんなんて昨日あんなことがあったのに今一緒にご飯食べてるの?食事とともに段々頭が冴えてきて、現状のヤバさに気づく。家入さんは!?家入さんは!?なんでいないの!?

「昨日傑と深夜任務だったんだろ、学校大丈夫か」
「ただでさえ先日の任務で休んじゃったので、あまり休みたくないんです」
「真面目だねぇ」

五条サンと食事とか何言われるか分かったもんじゃないけど、今は何も事情知らない五条サンの話題に救われる。今なら分家だのなんだのって言われても怒らない気がする。

「てか、何?傑、加茂ちゃんと目合わせねぇじゃん。喧嘩でもしたの?」

100%冗談な顔して五条サンが聞く。その瞬間私と夏油さんの間の空気は硬いものになった。
対して五条サンは笑みを深くする。くそ、一番面倒な人に知られたかもしれない。

「え〜〜喧嘩したの?マジ?なんで?なんで?」

一人楽しそうな五条さんに対して、私たちは無言を貫き通す。さっきまで美味しいと感じていた食事の味が分からない。このテーブルに座った私もだけど、無遠慮に聞いてくる五条サンも五条サンだ。
カチャンと夏油さんが箸を下ろす音に思わず肩が跳ねた。

「悟。先に行ってるよ」
「あ、はい」

有無を言わせない笑みを浮かべて消えていく夏油さんを、私と五条サンは無言で見送る。
完全に夏油さんの姿が見えなくなってから五条サンの手が私の耳元に添えられる。

「オマエ、傑に何したの?」
「……深い事情があるんですよ」

何と答えたら良いのやら。というか五条サンに言ってもロクなことにならないだろう。
答えに考えあぐねていると、私の向かい側にお盆が置かれる。跳ねまくった黒髪とほぼあいてない目、お盆の上にはお味噌汁のみ。

「家入さん遅い!!!!!!!!!!!」
「え、ごめん…?」

思わず大きい声が出てしまった。




食事を終えて家入さん達と別れ、学校に向かわねば。多分斎藤が制服持ってきているはず。そう思って携帯を開くと81件の電話。全て斎藤。
サッと血の気が引く。そういえば昨日連絡してなかった…!

震える手でコールボタンを押す。ワンコールもかからず斎藤の「斎藤です。なまえ様ですか?」と言う声が聞こえる。お、怒ってる…!

「連絡遅くなってごめんなさい…」
「話は後でします。校門でお待ちしております」

会話もソコソコにぷつりと切れた電話。斎藤を怒らせた事は何度かあるが、こんな怒り方は初めてかもしれない…。い、行きたくない…!しかし行くしかない…!

その日は車の中で延々と怒られた。任務終わりの電話と高専に泊まるなら必ずメールをする旨を斎藤と約束した。ごめんなさい。
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