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星漿体暗殺の話が回ってきた時、金額だけ聞いて二つ返事で引き受けた。護衛の中にはあの五条悟がいると聞いたが、問題ないと判断した。

その後もらった資料を確認したら、加茂なまえがいた。加茂家から回ってきた仕事をアルバイトとしてこなしてるという話は聞いていたが、バイトにしちゃ話がデカすぎるだろ。
なまえの事だから断るだろうと踏んでいたが、天元の使命だからか斎藤が上手いこと話したか、星漿体護衛任務に参加していた。

光源氏計画、なんてアホみたいな気紛れで助けた女の子、加茂なまえ。
顔がクソ好みだったから、殺すのもったいねぇなと思い生かした小学生。

で、蓋を開けてみたら想像の倍可愛かった。
外では笑わねぇし、喋らねぇしで、とにかく愛想が悪いから飽きたら殺そうと思ってた。でも人殺しの俺に対して、布団の中で口元を隠しながら俺に会えて嬉しいと伝える様子を見て、心に矢が刺さったのを感じた。まるで野良猫が俺にだけ懐いたみたいな。

人間を祓うのも呪霊を祓うのも同じだ、と告げる少女は加茂分家に女として産まれて来たせいでタイヘンな人生を歩んでいる最中なんだろう。外に連れ出してもいいけど、育てるのもだるい。猫は野良猫を愛でるくらいが丁度いい。と言うことで、たまに部屋に顔を出しては話をするって丁度いい関係に落ち着いた。
俺の一つ一つの話にキラキラしながら頷く様子や、楽しそうに自分の話をする様子に、こいつはどうしようもなく純粋で、そんな純粋なこいつを汚したいと思った。
クソみたいな家に生まれ、適当に声かけた女に股開かせて借り住まいにして、ギャンブルでは負けるけど、呪術師殺して金もらって、血とタバコと性の匂いしかしない俺の人生に真っ白な存在が出来た。

そう思っていたが、加茂家は存外クソだったらしい。女に産まれたからにはDNAを提供する役割になるのは理解してした。とはいえ流石に高校生からだと思ってたし、その頃にはある程度自立してるし攫ってやってもいいと思ってたら。初潮が来てすぐ床の練習と称して、憂さ晴らしに犯されるとは思ってなかった。
こいつを犯した男どもを殺して殺して、こいつが望むなら当主と殺し合ってもいいと思った。
こん時はじめてなまえに傾倒している事に気づいて笑った。

殺さなくていい、そうなまえに言われたから従ったが、中学卒業後あいつの部屋に寄ったら何も無かった時は柄にもなく焦った。知らない間に何処かに消えて、知らない間に殺されるのは叶わない。死ぬなら俺が殺す。
使えるツテは全部使って、東京のアパートで一人暮らしを始めたのを聞き駆けつけたら、知らねぇ男が鼻歌歌いながら食器洗ってたからクソびっくりした。


で、まぁ色々あって、今回の話が来て思ったわけ

なまえと戦ったことねぇわ、と。
天才気質なのとレアな術式持ち故に、加茂家で訓練を受けて特級なんかになったらしいが、果たしてその実力はどんなものなのか、と。ガキの頃から光源氏計画の為に優しいお兄さんを演じてきたが、蓋を開けてみたら弱くて、全く知らねぇ間に殺されるのだけは敵わない。

そこで今回の計画を立てた。
星漿体殺して金を手に入れて、尚且つなまえの実力を知る方法。

どちらにせよ五条悟がネックだが、奴を殺してしまえばなまえは俺に本気で立ち向かってくる。
ただ、嫌われて家に入れてもらえなくなるのは勘弁なので、星漿体も五条悟もその周りの呪術師もマジで殺すのだけは避けたい。

ちいせぇころに俺の一太刀を避けたあのガキが、今どんな風に成長してるのか、めんどくせぇ依頼だが、楽しみができた。
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