影とHSK

(※桃井視点です)


今日は大ちゃんときーちゃんと私である二人のデートを見守りに来たよ!


それは元大ちゃんの恋人で私の思い人だった黒子テツヤ君ことテツ君とみどりんの、あのみどりんの友達である高尾和沙ちゃんこと和ちゃんの二人


この二人のことは私も大好きで和ちゃんにならテツ君を奪われてもいいや!と思うぐらいに大好きである


もちろんテツ君のことも大好き


そんな二人がデートに出掛けるという情報をキャッチし、暇そうだった大ちゃんと仕事がお休みだったきーちゃんに声をかけた


「俺、二人のデート楽しみッス!」


小声ながらも興奮しているきーちゃんと対照的に


「あー…ねみぃ」


だるそうに欠伸をしながらも気になるのか待ち合わせ場所の方をチラチラと見る大ちゃん


そんな二人に挟まれながら私がいる


ちなみに待ち合わせ場所の公園の噴水からは見えない位置の草陰にいる


こんな体の大きい男が二人も草陰にいるのは怪しいと思うが誰も声をかけない


多分、大ちゃんの顔が怖いからだねと思うことにした


そんなとき待ち望んだ声が聞こえた


「あ、まだテッちゃんいないな!良かったー」


胸を撫で下ろしながら噴水前に和ちゃんが現れた


「あっ!ほら二人とも和ちゃんが来たよ!」


小声で二人を急かした


「ん?お、まじだ」


大ちゃんが和ちゃんを見て少しニヤニヤしていた


「ちょっと、大ちゃん!和ちゃんのことなんて顔で見てるのよ」


「うわぁ…青峰っち、最低ッス」


「なんだよ、悪いかよ」


不満そうな顔で見てくる大ちゃんに


「和ちゃんのこと変な目で見ないでよね!」


「しょうがねーだろ。和沙の胸デカイから。足もきれいだしよ」


「あー、それは分かるッス」


きーちゃんまで感心したように和ちゃんのこと見るから二人の頭を叩いた


「「いてっ!!」」


「もう!二人は黙って!」


後ろでまだ何か言っている二人を放っておいて和ちゃんの方を見てみるといつの間にかテツ君がいた


「おはよーテッちゃん」


「おはようございます。和沙さん。遅れてしまいましたね」


「そんなことないよー。テッちゃんが来るの楽しみに待ってたし!」


そう言ってテツ君に抱きつく和ちゃん


どっちも羨ましい!私も和ちゃんに抱きついて欲しいし、テツ君に抱きつきたい!


「ねーテッちゃん」


「何ですか?」


「今日はどこ行く?」


テツ君の腕に抱き付き、胸を押し当てながら言う和ちゃんが可愛かった


「黒子っち、羨ましいッス!!」


「テツ、ズリィぞ!」


後ろの二人がうるさい!


「二人とも!見つかっちゃうでしょ!」


やっぱ、私一人で来れば良かった!


そんなことをしていたら目的の二人が移動を始めていた


「あっ!二人とも追いかけるよ!」


「はいっス!」


「おうよ!」


なぜか気合の入っている二人である


「和沙さん」


「ん?何?テッちゃん」


「今日の来ている服似合ってますよ。可愛いです」


「ありがとー!テッちゃんもかっこいいよ!」


二人の会話が可愛い…!


「テツ、よくあんなこと言えんな…」


「さすが黒子っちッス!」


二人が歩いていく後ろを見失わない距離まで遠ざかって見てるけど、二人の周りにピンクオーラーが見えた


「いいなー。私もあんな風になりたいな…」


少しネガティブな考え方をしちゃったことは大ちゃん達には気付かれなかったようだ


「テッちゃん!あれ見て!あれ!」


テツ君の腕をグイグイ引っ張っていた先にはペットショップがあった


和ちゃんが指差したのは一匹の黒い子猫だった


「ほら可愛いよー」


テツ君の方をニコニコしながら見ながら主張していた


「はい、可愛いですね。でも…」


「でも?」


「和沙さんの方がもっと可愛いですよ?」


「…もうっ!嬉しい、テッちゃん!」


和ちゃんは周りのことを気にしないで、ぎゅっとテツ君に抱きついた


「和沙も大胆だな」


「そうッすね。和沙っちって、スキンシップ多いッスしね」


二人はさっきのようなやましい思考を止め、いつのまにか見守り態勢になっていた


「二人共、やっと静かに見る気になったんだね」


二人に笑いながら言うと


「「だって、テツ(黒子っち)の彼女(ッスから)だし」」


二人がそんな考えをしていたことに驚いた


テツ君の恋人だからとかよくそんな恥ずかしいこと言えるなー


でも、私もそう思ってるけどね


「「あと、和沙(っち)を見るだけなら言わなければバレない(ッス)から」」


…私の思い過ごしのようでした


「はーっ…」


重いため息が出た


「和沙さん」


「どしたの?」


「こっち来て下さい」


テツ君が手招きをしている店はアクセサリー屋だった


「これ付けて見てください」


「いいよー」


テツ君が渡したのは淡い水色とオレンジ色をしたブレスレットだった


テツ君趣味いいね!


和ちゃんの腕にブレスレットはよく似合っていた


「やっぱり、似合いますね」


それを見ながら笑うとテツ君は店員さんを呼んでいた


「ん?あれどうすんだ?」


「あれじゃないッスか?プレゼントとか」


多分それだよきーちゃん!モデルやってるから女の子の扱い方、分かってるね


「え?テッちゃん、これどうすんの?」


一人取り残され不思議に思っている和ちゃんにテツ君は


「僕からのプレゼントです」


「ふぇ?」


「嫌でしたか?」


「ううん!ありがとう、テッちゃん」


ブレスレットを握りしめながら本当に嬉しそうにしている和ちゃんはやっぱり可愛い


そしてまたテッちゃんに抱き付いていた


「「やっぱ、ズリィ(ずるいッス)」」


懲りない二人だった


その後、私たちはお昼になるのでテツ君達と同じお店に入った


そこでも二人はお互いにあーんをしたり、食べ物を交換したりしていた


「テッちゃん、口開けてー?はい、あーん…おいしい?」


「はい、美味しいですよ。和沙さんもはい、あーんです」


「うん!あー」


こんなやり取りを繰り返していた


一方、こちらはというと


「ちょっ!青峰っち!それ俺のッス!!」


「名前書いてねーだろ。じゃあお前のじゃねーよ」


「ああ!!もうっ!青峰っちの食ってやるッス!」


「てめっ!黄瀬!ふざけんな!!」


ぎゃーぎゃーとうるさい二人に声をかけようとしたら後ろから声をかけられた


「何をやっているんですか?君達は」


「丸聞こえ出し、私の鷹の目にはバレバレなのだよ!」


声の主はデートをしていた二人でした


「あっ、えっと、これはね…二人の邪魔しようと思ったんじゃないんだよ!?」


「分かってますよ、桃井さん」


「うん、大丈夫だよ。さっちゃん」


私に微笑みを向けてくれる二人に安心した


「問題なのはあの二人です」


テツ君の目がギラリと光ったように見えた


「さ、さっちゃんはこっちの席に行こうねー」


「え?えっ?和ちゃん?」


和ちゃんに連れて行かれるが、後ろから


「さぁ、二人とも覚悟はできてますか?」


「「ヒィィィイ!!」」


二人の悲鳴と私を呼ぶ声が聞こえたけど気にしない!


「全く、あの二人は高一のときから全然変わらないねー」


「ははっ…そうだね」


笑いながら話してくる和ちゃんに後ろから聞こえる悲鳴を聞きながら苦笑いを浮かべるしかなかった


(男前とハイスペック彼女)



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