我愛羅と神龍






【我愛羅side】


昔、誰かが
彼女を女神様と言っていた。

枯れた大地に水と緑を与えたりと、
数々の里を一瞬で救ったらしい。

そして、孤独だった俺に手を差し伸べ、
暗闇から救い出し、生きる希望をくれた。
眠れぬ夜もあっという間に
心地よい夢を見させてくれる

彼女はまさに俺の中で女神そのものだった。

好きだ、マリン。
昔も、今はもっともっと。











我愛羅が目を覚ますと、
すっかり日も暮れた公園が目に入った。

ふと暖かいぬくもりを感じ、
視線を落とすと、
俺の腕の中でうとうとしてるマリンがいた。
同時に眠る前の出来事を思い出し、
我愛羅は顔を赤くした。

(我愛羅よ)

我愛羅の脳内に声が響いた
同時にビリビリと感じた事も無い
力が身体中に電流の様に流れた。

「(なんだ??)」

(我が名は神龍。マリンの中に宿っている
こうして直接話すのは初めてだな。)

「(!!…ああ、
幼い頃にマリンにお前の事を聞いてから
調べたが、尾獣の神らしいな。
通りで一尾が大人しくなった訳だ。
だが、実在するとは驚いた。)」

(俺の存在を知るのは
この子の両親と育ての親の猿飛とはたけカカシ、
そして、お前だけだ。)

「(そうか。)」

(お前には伝えておこうと思う。
この子の正体を。)

「(マリンの正体?)」

チラリと自分の腕の中で眠るマリンを
我愛羅は見た。

そんな我愛羅の気を察してか、神龍は
(この声はお前にしか
聞こえていないから安心しろ。)と呟いた。

神龍はマリンの両親、
マリンの特殊な能力は神龍では無く
マリン自身の力であること。
マリンが本物の女神であったこと。
そしてこれまでの事を事細かに話した。

本物の女神…

我愛羅は胸を高まらせた。

(全てを知っても、
この子と一緒の道を選ぶか?我愛羅よ)

「(当たり前だ。俺が守っていく。
もう決めた事だ。何があっても離さないつもりだ。
それにマリンはマリンだ。
それは昔も今も変わらない。)」

(ああ、お前なら
きっとこの子の両親も安心だろうな)

頼んだぞ。と言い残し、
我愛羅の脳内からは
スっと、神龍の気配が消えた。

我愛羅はマリンに目を向けた。

「…マリン、
すまない寝てしまったようだ。
今日はもう遅い。宿をとってあるからゆっくりしていけ。火影には俺が連絡する。」

我愛羅はマリンの肩をトントンと叩いた。

『ん…我愛羅、ありがとう。』

眠いのか、フワフワした
無防備な笑顔を見て、ドキリとした。

「っ!!いやっ…宿まで送ろう。」

思わず、
我愛羅は緩む口元を手で覆ったのだった。





 

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