綱手は勘が鋭い






木の葉祭りの日、
マリンと我愛羅が公園で話した日から
一年と少しが経とうとしていた。

マリンは現在19歳となり、
特別上忍として現在火影である綱手と
共に木の葉の里を引っ張る主力となっていた。

マリンは綱手に呼ばれ、火影邸の執務室にいた。

『綱手様、どうされました?』

「ああ、新しい風影が決まってな。
火影直々に働くマリンには関わる機会が
多いと思うから一応、報告を、と思ってな。」

『なるほど!お気遣い、感謝します!』

「ああ、
新しい風影は我愛羅に決まったそうだ。
確か、お前と同い年だった気が…」

綱手はマリンの顔を見て、固まった。

顔を真っ赤にして身体を震わせ、
今にも泣き出しそうにしているのだ。

「なんだ!?マリン、どうした!?」

『え!あっ、いやっ、…すみません、グスッ
嬉しくて…我愛羅くん、夢が、叶ったん、だなって…うぅ…』

『良かった…良かった…!
本当に凄いよ我愛羅くん』
と、涙を拭いながら心から嬉しそうに
笑ったマリンの笑顔が本当に綺麗だった。
同時にとても優しい目で、
ほんのり頬を赤く染めているマリンを見て、
綱手は、ああ、そういう事か。と
鋭い女の勘を働かせた。

「オホン…2日後に、砂の里で就任式が行われる。
木の葉からの出席枠が一つあるのだが…
マリン、行ってくれるか?」

『はい。…って、へっ!?
私、ですか!?いいんですか!?』

よりいっそう、頬を染めて、
興奮するマリンに、綱手はやはりか、と確信する。

「ああ、
あいにく私は席が外せなくてね、
…まぁ、なんだ、マリンも年頃の女の子なんだ、
恋の一つや二つ、楽しんでもいいんじゃないか?」


『つ、綱手様っ……!!』

今までにない程顔を赤くしたマリンに
綱手は、ニシシと笑いつつ
ああ、この子も普通の女の子なんだな。と微笑ましい気持ちになった。









テマリは風影就任式の
木の葉からの出席者を迎えるため門で待っていた。
まだ、誰かは知らされていない。

「(シカマルに聞いた時は
カカシかも、と言っていたな。)」

来た様だ。
トコトコと走ってくる姿を見て
テマリは驚いた。

「って、マリン?!」

『あ!テマリさん!こんにちは!』

「まさか、マリンだったとはな!
久しぶりだな、元気か?」

『はい!テマリさんもお元気そうで!
この度は、我愛羅くんの
風影就任おめでとうございますっ!』

キラキラした笑顔で、
自分の事の様に喜ぶ様子のマリンに、
テマリも笑顔になる。

「ありがとう。
私も誇らしいよ。」

ニコニコと笑うマリンに
テマリが頭をポリポリ掻きながら
恥ずかしげに口を開いた。

「あー、あと、今更だが
その、敬語やめないか?
歳もそんなに変わらないんだし、テマリでいい。」

『え!テマリさんがいいなら、
お言葉に甘えて!』

「ああ、もちろん。
私もその方が嬉しい。

疲れただろう?話もしたいし、
お茶でも飲んで行こう。
就任式まで時間もあるからな。」

『うん!いきたい!』




テマリとマリンは
近くのカフェへと向かった。




 

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