姉、テマリの胸中




【テマリside】



砂の三姉弟は任務終了後に
通り道でもある、木の葉の里に寄った。
なんでも今日は大きな祭りがあるらしい。

我愛羅は木の葉に近づくにつれ、
何やらソワソワしていた。
一年前の木の葉崩し事を気にしているのだろうか?
それならもう、お互い気持ちよく和解した筈だ。

テマリは首を傾げながらも
商店街に近づくにつれ、
賑わいを増していく里の様子に
少しだけ心を踊らせた。


「(そういえば、奈良シカマルはいるだろうか…)」

テマリは
自分の口元が緩みそうになるのを必死に耐えた。

「おっ、美味そうなの
結構あんじゃん?俺焼きそば買ってくらぁー」

「あっ、おい、カンクロウ、
…はぁ、我愛羅、お前も何か食べたいなら…」

隣にいる弟を見ると
ある1点を見つめてフリーズしていた。

視線の先をたどると、
賑やかな輪が出来ている
よく見ると、木の葉の同期達だった。

輪の真ん中には

「マリン?」

バチりと視線がかち合った。

『あ!テマリさん!』

マリンがテマリに手を振る。
テマリが照れながらも手を振り返すと、
マリンの視線は隣に流れた。

『我愛羅くんっ!!』

ああ、女というのは
何故こんなにも他人の変化に敏感なのだろうか。

マリンは我愛羅を見つけた時、
明らかに目の色を変え、頬をほんのり赤く染めた。
同性の私ですら、ドキリとする程可愛いと思った。

チラと、隣の弟を見ると、
ガッチリ固まった後、
あからさま過ぎるくらいにマリンから目を逸らした。
私から見える耳は真っ赤に染まっていた。

今までの点が線に繋がっていく。


ああ、女というものは
何故こんなにも勘の良い生き物なのだろうか。

私はニヤケがとまらなかった。





マリンは木の葉の輪をすり抜け、
こちらに走ってきた。
後ろの輪からは憐れなブーイングが聞こえた。

『テマリさん、我愛羅くん久しぶり!!お元気でしたか??』

「ああ、おかげさまでな。
2年ぶりか?
マリンもすっかり見違えたな、
最初誰か分からなかった。」

『そんな、大げさですよ!
あ、ところでカンクロウさんは?』

「ああ、
あいつは焼きそば買いに行った。
そのうち来るよ」

『そっか!
皆さんお元気そうで良かった!
えと、今日は任務だったんですか?』

「ああ、近くであってね、
帰り道ついでに寄らせて貰ったよ」

『任務お疲れ様です。
久しぶりに会えて嬉しいです!
あれからずっとテマリさんとお話したくて!』

「ああ、私も「マリン」

「!?」

すっかり蚊帳の外だった
我愛羅がマリンの腕をとった。

テマリとマリンは固まった。

「マリン、少し、話さないか?…二人で」

!!

『ひ!え!あ!う!うん!
もちろんだす!!』

「(だす…)」

「ブックッッッ…」

テマリは必死に口を抑えた。

ああ、でも、いいかもしれない、
この子にお義姉さんと呼ばれるのも。

と、テマリは
気が早すぎる妄想をしながら
二人を見守った。





 

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