元気な声でこんにちは





「おや、その子は?」

一行は風影邸に着き、風影に挨拶をしていた。
ふいに風影がマリンに視線を移した。

「ワシの孫じゃ。」

「へっ?孫?」

首を捻る風影に
マリンは勢いよくぺこりとお辞儀をした。

『マリンです!5歳です!
今日は砂の里の困ってる人を助けに来ました!』

うーんマリンいい子だねぇ。と
カカシは相変わらずマリンの頭をなで続ける。

「オホン…はて?何故お孫さんを?」

「話せば長くなるが
この子はちと特殊な能力を持っておる。
木の葉をたった1日で完全復興させた。」

「なんと?この子が?にわかに信じ難い」

「見てれば嫌でも分かるわい。」

『なんでも治せるよ!!』

トコトコと里を一望できる大きな窓に
マリンが走り出した。

各所に山々と積もった砂や、
水の出ていない噴水
萎れた花、砂嵐で損傷を受けた民家を
マリンは視界の中で手で覆った。
マリンが手を離した瞬間、
里は以前と変わらない美しい景色を取り戻した。

「なっ!!?一体これは?!
この子がやったのか?」

うん!と元気よく頷くマリンに
風影は恐れすら感じた。

(忍術?いやチャクラを感じない。
魔法…?なんなんだ。)

「いったい何者なんだ、この子は…」

「もちろんワシの孫じゃよ。」
「もちろん俺の妹ですよ〜。」

二人の声が執務室に響いた。





その頃砂の里は
住民が軽くパニックを起こしていた。
さっきまでの景色とガラッと変わり
本来あるべき里の風景を久しぶりに目にし、
感極まって涙を流す者もいた。


「公園の噴水が治ったって!」

「水道から綺麗な水が出てる!
泥水じゃない!」

「僕んちの壁も綺麗になってた!」

「庭に降り積もった砂が無くなってた!」

「見て!花が咲いてる!」

砂が積もり姿も見えなかった遊具が
再び姿を表し、
興奮した様子で群がる子供達が執務室から
見えたマリンは目を輝かせて、指を指した。

『おじいちゃん、お兄ちゃん!
遊びに行ってもいい!?』

「ああ、気を付けてな。
カカシ、頼む。」

「りょーかいですー」

パタパタと公園に向かって走るマリンを
カカシは微笑んでのんびり追いかける。

「(しかし本当にマリンの力には驚かされた。
今度は、砂の里をまさか一瞬で…。)」

「もしかしたら俺、
すんごい妹を拾っちゃったのかな?」





一足先に公園に着いたマリンは
執務室からみた楽しい公園の様子では
ないことにすぐ気付いた。

5.6人の男の子が
1人の男の子を睨みつけていた。

みんなマリンと同い年くらいである。

『こーんにちは〜!!』

マリンが大きな声を出すと
視線が一気に集まった。
こちらに背を向けていた1人の男の子が
ビクリと肩を震わせて振り向いた瞬間
神龍が私の中で起きたのを感じた。

『(おはよう!神龍!
もう、眠らなくていいの?)』


神龍は1人の少年をじっと見つめていた。





 

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