奴の口を見ると微かに動き「行って来い」とにんまり笑った。
ああ、これじゃあ誰が年上かなんてわかりゃしない。

「ッ頼む!」

アレンが作り出したゲートを潜ると、またあの真っ白い方舟の中に入る。目の前には、不自然に一つだけ開いている扉があった。おそらく、この先に。
身体ごとそこに踏み入れると、一瞬視界が暗転しそして、気が付けばへブラスカの間の目の前だった。

「アスフォード元帥!?」
「ああこんにちは長官。いいお天気ですね、っと」

唐突に天井が崩落する。煙が上がる中で見えたのは白いアクマ、レベル4。どうやったのかは知らないが俺を追いかけてきたのだろうが、おそらくこの状況では俺がレベル4と対峙するよりも先にリナリーの元へ辿り着いてしまう。

不意にリナリーはふふふ、と笑う。可愛らしい笑みだったが残念なことに状況がそぐわない。

「ありがとう、元帥。でも私、決めたの」

友達を護るって、決めたから。

  
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