朝、珍しく朝練が始まる四十分ほど前に学校に着くと、もう既にコートを使っている人が居て思わず木の影に隠れてしまった。ぱこーんぱこーんと小気味いい音が響くので試合でもやっているのかもしれない。ちょっと覗くくらいならいいかな、と首を出そうとするとコートの方から声が掛かった。



「幸村がその木の影に隠れている可能性、91パーセント」

「…む? 見たいのならさっさと出て来い、幸村」



何故分かったんだ。ふと視線を地面に下ろすと、出たばかりの太陽が俺を真横から照らしていた。成程な。

コートの中に足を踏み入れると、柳はふと笑った。



「今日は早いんだな、幸村」

「別に、普段から遅いって訳じゃないんだけど」
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