その後も普通に喋ってしまった。この前までの気まずさが嘘のようだ。こういうのはノリが一番だって誰かが言ってたし気にすんな。

真田も少し呆然としたような表情で俺達を見ていたが、立ち直ると俺にユニフォームに着替えないのか、と急かすので、部室で急いで着替えてラケットを手に持った。外に出て軽く準備運動すると、彼らは先程と同じように打ち合っていた。



「そういえば、幸村の五感を奪うプレイだが、自分でコントロール出来るようになるかもしれない」

「マジで?」

「要するに、イメージの問題だ。奪いたくない、と強く思えば奪うことがない、のかもしれないし、触覚を奪いたいと強く思えば感覚だけ奪うことが出来るようになるのかもしれない。まあ俺自身、知り合いの中でイップスが出来る奴なんてお前しか知らないから確証は無いが」



な、なるほど。確かに俺には意志の強さが足りないのかもしれない。確かに思い当たる節は幾らかあるが……良く考えてみると五感を奪うって人間としてどうなんだろうか。コントロールなんて出来るようになるのか? 甚だ疑問である。
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