「ば、馬鹿だろ真田、こんな遅くに一体何で」

「……先輩に、全部聞いた。お前を傷つけてしまったかと悔いていた」



蒸し暑いはずの空気が今だけひんやりと感じて腕を擦る。その際、テニスプレイヤーとしてはやけに細い二の腕に気付いて聞かれない程度に舌打ちした。何をしても肉がつかないこの体が憎い。



「錦先輩は何も悪いことは言ってない。自分の物を使いこなせない俺が悪いんだ」



俺もまだまだだね。そう言うと、黙り込んでしまった真田の顔を屈み込んで見上げる。そうしていると、真田は不意にくわっと俺を見てたるんどる、と叫んだ。何時代の人だよお前。
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