ギャラリーは未だにざわめいている。聞こえてくる俺への評価に内心苦笑しつつ、俺はゆっくりとネットに向かった。

血も涙も無い奴だと思われても構わない。俺は、勝たないとこの世界で生きて行けないのだから。



「これが、現実だよ」



ありがとう、と手を伸ばすと、千石は戸惑ったようにその手を握って、引き攣ったような笑いを見せた。

ちらりと真田を見ると丁度目があった。



「(そういえば逸らされたんだっけ)」



朝の出来事を思い出しつつ、俺は出来るだけ自然に笑ってみせた。
| |
- ナノ -