誰かがその惨状を見て、魔王、と称した。中々に面白い喩え方だと感心する一方で、俺は自分自身が今一体何を仕出かしたのか、目で見ていても頭には伝わらなかった。
6-0、1ポイントも取らせずに、快勝。
「君、大丈夫ですか!」
「……」
辛うじて目は見えているらしいが、その他の五感がすっかり消えてしまったようだ。千石は、審判の言っていることが分からずにただ呆然としていた。
「ごめんね」
彼にも伝わるようにゆっくりと発音した。握る手の平が痛い。
「……幸村、」
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