試合前にちらりと真田を見ると、一瞬目が合った後にふいと逸らされてしまった。

よくもまあ嫌われた、ものだ。



「ザベストオブワンセットマッチ、立海サービスプレイ!」

「さっきから楽しみにしてたよ、幸村君!」



にっこりと笑顔で千石は言った。その笑顔に若干顔を顰める。仁王は呆れたようにこちらを見ているし、おそらく分かる人には分かる程度に酷い顔をしているのだろうか。

せめて、目の前の彼には気付かれないように軽く、口角を上げて笑った。



「生憎、今日の俺は機嫌が悪くてね。……十五分で終わらせてあげるよ」
| |
- ナノ -