しかしそれでも根本的な解決には至っていなかった。そう、真田は俺に、自分の為に立海でテニスをしてくれ、と言ったのだ。俺はその問いに答えるどころか勝手に話を聞かずに腹を立てて逃げてしまった。

答えるなら、今だ。この半年間、ずっと考えてきた答を打ち明ける絶好のチャンス。

俺はハンカチを持つ真田の右手首を掴み、目を合わせ息を吸って言った。



「真田、俺は自分の為にテニスは出来ない」



でも、と俺は言った。

何のために俺がテニスをするのか。何が俺をテニスに縛り付けるのか。それはきっと、君の為なのだろうか?



「君が全国一位になる為に、努力はする」

「……そうか」



真田が嬉しそうに笑った。



きっとこれで、いいのだろう。
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