「ってててて……押すなよジャッカル!」

「俺かよ!」

「仁王が押した確立78%」

「プリ」



さて、と俺は突然引き戸の外から現れた四人組を見つめた。随分と個性的な髪色をしているが、彼らは誰なのだろうか?

なんて大体分かっている。おそらく彼らは、



「……覗き?」

「いや、いやいや違うんだって幸村君! だってこそこそしてるからつい!」

「丸井、一般にそれを覗きと言うのだ」

「というか何で俺の名前知ってるの」



俺は首を傾げると、茶色い髪の、先程確立を出していた少年が何を言っているんだ、という表情でおや、と声を上げた。



「幸村精市、昨年のJr.大会の優勝者。テニスをかじっている奴なら誰だって知っているだろう。むしろそもそも、先程壇上に上がっただろう」

「ああ、そういえば」



納得する。そういえば俺はある意味で有名人だった。

赤い髪の子は俺を見て、目を輝かせていた。悪い気はしない。



「幸村君って凄いよな! テニスも出来て勉強も出来て、カッコいい!」



どうやらリスペクトされているらしい。そんなに言われると照れるじゃないか。
| |
- ナノ -