「っあ、ごめん」



思いっきり抱きついて真田のシャツに顔を押し付けていたので、シャツが涙で濡れてしまった。慌てて少し離れて、ごしごしと袖で涙を擦る。



「いいんだ。俺が悪かったのだから」



償わせてくれ、とでも言いたげな真田に、幸村は首を傾げた。何もそこまでは言っていない。

そういえばはたして何をしていたのだろうか。……ああ、部活か。



「そういえば、部活は?」

「ああ、入部届けは明後日の部活で出せば良いらしい。今日は帰れと言われた」



ふーん、と相槌を打ってごしごしと目を擦り続けると、真田は溜息を吐いた。擦っていた手を取られ、代わりに真田のポケットから出てきた無機質なハンカチを宛がわれた。



「擦ると腫れるぞ。じっとしてろ」



真田は、呆れる、というよりかは微かに笑うような口調で言った。俺もきっと、不細工に笑っているだろう。
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