一階まで降りてようやく気付いたのだが、もし幽霊の正体が警備員さんとかだったらむしろ俺達が幽霊なんじゃないか? 相変わらず赤也は叫びっぱなしだったが、俺の方は妙に冷静になってしまった。



「ねえ赤也、本当に幽霊なんていると思うのかい?」

「本当に居たから俺ら逃げてんでしょうよ!」

「…でも、別に幽霊を見たわけでも無いし、もしかしたら警備員さんかも」

「っそう思うなら先輩が一人で見に行けばいいんでしょ、一人で! 俺は戻るっすよぉぉぉ!」



えっ、だから置いて行くなよ。

玄関を見た瞬間ばっと走り去った赤也の後ろを追うが、やはりかつーん、かつーんと足音は一歩ずつ近付いてくる。その足音が階段を降り切ったところで、おれは好奇心に負けて、後ろを振り返ってしまった。



「っひぃぃぃぃぃ!」
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