顔を見合わせた後にひぃぃぃと俺を置いて逃げた赤也。先輩を置いて行くなそして折角来た道を戻ろうとするな。味方は何処にも居ないのか。俺だってな、怖いんだぞ!

赤也の後を追うが、火事場の馬鹿力というやつなのかやたら滅多ら速い。体力はあるほうだと自負しているが、流石に全速力で階段を駆け上がるのは止めて欲しい。逃げたいのは俺だって同じなんだ。



「ちょ、赤也待てって!」

「止まったらおばけがくるっすよおおおお!」

「馬鹿か、そんなもの居ないから絶対!」



居たら俺が困る、切実に。

四階まで昇ると、赤也は本来の目的を思い出したのか1−Cに駆け込んで何事かばったんどったんと派手な音を立てつつも宿題を取って帰ってきた。その間も迫ってくる足音に俺の顔も真っ青だろう。校舎に明かりが点いてなくてよかった…
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