極めて“普通に”練習にお誘いした結果、財前君は若干乗り気ではないながらも来てくれた。



「まあ、ルールとか気にせず、最初は軽く打ち合って――」

「大丈夫っす」



財前君はラケットをくるくる回し、生意気にも「邪魔しないでくれればいいっすから」と面倒臭そうに言った。

とりあえず俺と謙也くん、財前君と小石川でダブルスをすることにした。



「サーブ出来るかー?」

「あ、はい」



教えることが何も無い。

二、三回と言っていたのに、彼の腕は中々大したものだった。未来のスピードスター(笑)謙也くんが返球しても、財前君は済ました顔で対角を狙ってくる。

それにしても、これでは俺達の面目が立たない。最初に手加減しよう、とは言ったものの、どうせ謙也くんは短気だから本気を出している。



「先輩、本気出してくださいよ」



財前君は、本当に生意気だ。
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