「で? ことごとく玉砕した、と」 「奴は手ごわいで…!」 崩れ落ちる皆を横目に、小石川は困ったように笑った。 それにしても、本当に財前君は似ているかもしれない。正直なところ、俺も彼らのギャグは分からないのだ。それを謙也くんに言うと、「そもそも俺、白石がお笑い番組で笑ったとこ見たことあらへんもん」と呆れられた。一氏君はこのギャグの価値が分らんとは…! と嘆いているし、そんなもんなのだろうか。 「というか、普通に勧誘して来いや」 「……普通?」 一氏君は呆けたように俺を見た。頷いて言う。 「無理に笑かさんでも、普通に『練習見に来てください』って言えば通じるんちゃう? そもそも笑かしても何したいんか全く分らへんよ」 「おおそうか、ありがと白石! ほな行ってくるで!」 倒れていた一行は復活すると、元気よく走り去っていった。俺は仕事を再開するが、一つの疑問が残る。 ……何故初めから普通に誘わなかったのだろうか。 |