この劇は、おおよそのストーリーは白雪姫をモチーフにしているが所々の台詞回しにギャグ要素が混じっている。しかし、大筋はシリアス。

俺の演じる“白石姫”は心優しいイケメン、もとい美少女。それが災いして先輩達演じる継母、女王に突然死刑を言い渡される。彼女は理不尽なその言葉に涙を呑むものの、処刑人は白石姫の容姿にとりこだった。それを利用して彼女は森の奥深くに逃げる。そこで見つけたのは、一つの小屋だった。

中に入ると、半人サイズのベッドが七つ。逃げ疲れていた白石姫は喜んでそこに寝転がる。



「おい、美人がいるぞ」

「ああ、本当だ。どうしたんやろ」

「ほんま綺麗や」



そこに帰ってきた七人の小人(しかしでかい)はその小屋の所有者だった。白石姫が起きると、彼らは彼女を崇めるように世話しだした。彼女が追われている、と言うと、



「そんなことなら使って下せえ兄、いや姉ちゃん」



小人は彼女の為に人サイズのベッド、カップ、器、フォーク、スプーン、と次々に作り出した。それに感動した彼女はそこまでしてくれる彼らの為になにか出来ることは無いのか、と問うが、そこにいてくださるだけで十分なんですとにこやかに言われてしまう。

そんな生活の中に、突如林檎売りが現れる。奇妙な色のそれを見て、彼女は「これなら喜んでくれるかしら」と思い購入するが、見ていると食べたくなってしまったのでとりあえず切って、ぱくり、と口に放り込んだ。



「……っ!」



そこで一度暗転して、次に彼女が目を覚ましたのは、別の国の王子がキスをする直前だった。白石姫は危機を感じて王子を蹴り上げる。何処、とは言わない。

彼女は王子から結婚を申し込まれるが、素気無く断る。そして、元から考えていたことを告げる。



「私は、城に戻るわ」



王子は、この国に女王がのさばっていると聞いて討ちに来たらしい。彼が本来の役目を果たすと白石姫はお城に戻れるようになった。これでめでたしめでたし、である。

元に戻った方が、迷惑を掛けないと彼女は思ったのだろうか。



因みに謙也くんは終始マネージャー業に励んでいたことを記しておく。
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