文化祭は三日ある。この劇が上演されるのは各日の14時から。二日目の上演も終わり、暑かった衣装を着替え暇になった俺は、謙也くんと文化祭をエンジョイすることにした。



「んー、何する?」

「せやなぁ……あ、」



2-5・執事喫茶、と流暢な字体で書かれた看板を指差す。原先輩は確か2-5だったはずだ、と言った。



「ちょっと見てみるか」

「せやな。入りにくいし」



執事喫茶というものは、男子にとっては高いハードルである。

お腹は空いていないので、入らずに空いていた扉からこそりと覗くと、丁度客が案内されている所だった。綺麗な女の人が三人。



「あ、あれ先輩ちゃう?」

「ああ、ほんまや」



黒いスーツにネクタイでビシッと決めている。元は良いのにそれを生かさないからいつもは気持ち悪く……失礼、アホに見える。俺は謙也くんを急かしてその場を後にした。
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