台本が出来るまで一週間、出来てから演技指導――これは一氏君にかなり協力してもらった――で二週間、そして大道具製作等大詰めの二日間。テニス部内向けのゲネプロでは、聞いただけでは結構の評価だったらしい。

しかし俺は納得がいかない。



「もうええんやないか? 流石にテニス部の劇にそこまで期待しとらんやろ」

「何言っとんの。期待されなくてもやるんが筋やで」



一氏君は呆れたように俺を見た。もう何回通したは分からないが、彼にはとても申し訳ないと思っている。こんな俺に文句も言わないで従ってくれる君が好きだよ!



そして本番。こっそり覗くと、意外にも講堂の席は全て埋まってしまっていた。どうやらゲネプロを観たテニス部員が大分吹聴したらしい。

俺は衣装である白雪姫のドレスを翻して壇上の中央に箒を持って立った。上手側をちらりと見ると、待機している先輩達がぐっと親指を立てた。

――そして、幕は上がる
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