よかった……!」



全部、無駄ではなかった。

そのことを把握した瞬間、俺は思わず力が抜けてへなへなと地面に座り込んでしまった。自分の努力が認められるのはいつだって嬉しい。こんな私でも彼らの役に立てる。俺のテニスは“白石蔵ノ介”ではなく、れっきとした俺自身の努力に寄って成り立っているんだと、ようやく証明された。



そのとき私は嬉しくて浮かれていて、すっかり収拾すべきことがあるのを忘れていた。自分達の問題にばかり目移りしてしまったのだと気付いた頃には既に、時遅しといった具合で。

有り体に云えば、私は千歳を四天宝寺へ編入させるフラグをうっかり見逃していたのである。
| |
- ナノ -