「あんな、俺今ほんまに怒ってるんやで? 金ちゃんが俺らの言うことも聞かずに我侭ばっか言うから」 「えー? テニスおもろいやん。試合して何がわるいんか」 「……もう帰らんと、親御さんも心配するんちゃうか?」 怒られるんじゃないのか、と促すと、金ちゃんは考え込むように唸る。その隙にすかさず、俺はそれでな、と言葉を続けた。 子どもは誰だって“秘密”が大好きだ。そして俺は(中身は兎も角)まだギリギリ中二だ。大丈夫大丈夫。 「俺、皆に秘密にしてたことがあるんや」 秘密を守るかのように、静かにしい、と人差し指を唇に当てると、金ちゃんは何か重大なことがあるとでも思ったのか、こちらも静かに息を飲んだ。 |