蒼の双眸(FGO×DC)

或る日の誰かの独白


君が君として生き返る気が微塵もなくて、新しい生を迎えた上で我々と出会う未来を望むというのなら、その通りになれば良い。ただ、全員がそう思わないということも君なら理解できるね?君はサーヴァントではない。生をやり直した君は本当に君といえるのだろうか。私たちサーヴァントは座に還れば記憶は記録として残る。次に召喚された時に記録には残っていても自分自身が君と過ごしたという思い出はない。君と一緒に旅をして、力を貸して共に過ごすのを良しとしたのは今ここにいる自分だ。座に還り、記録を見返しただけの自分ではない。君が君のままであったのなら、藤丸立香がマスターだったと記録の残っている我々はきっと力も知恵も貸すだろう。だけどもね、本当に藤丸立香かどうかわからない君と、君との思い出が記録だけになってしまった別個体とも言える私たちが出会ったところで何になるだろうか。

君が次の未来を望むのなら否定はしない。ならば、我々も望ませてもらおうじゃあないか。

我々は君と必ず再び出会う。赤の他人や、私たちを認知できずすり抜けていくただの人間ではなく、私たちが認めた君のまま、私たちの手が届かない時にも君を庇護する者の元に生まれてきますように。

健やかでありますように。

よい日々を過ごせますように。

願いは尽きない。願いは形にならない。きっと形になった時、このカルデアは形を失ってしまうだろう。

「君との思い出に縋り続けるべきか。新たな可能性に手を伸ばすべきか……」

答えが見つかるまで世界は何一つ待ってくれやしないのだった。

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