蒼の双眸(FGO×DC)

C


「立香くん!今日こそは!」
「少年探偵団に!」
「入ってくれるよな!」
「ううん。遠慮しとくねー」

放課後の教室でのこと。帰り支度をしてると、目の前に勢いよく現れたのは3人のクラスメイトたち。仮面ヤイバ―のポーズをばっちり決めた3人は少年探偵団って呼ばれてる。探偵って聞くとうちの顧問探偵を思い出す。うーん、彼とこの子たちは合わなさそうだけど、案外仲良くやれるのかもしれない。とはいえ英霊とは無縁の暮らしを送っているこの子たちにわざわざ引き合わせるつもりもない。誘ってくれてありがとう、と三人にお礼を言っていたら後ろから大きなため息と呆れた笑い声が聞こえてきた。探偵団のお守をしてると言ってもおかしくないくらい落ち着いている彼ら、江戸川コナンくんと灰原哀ちゃん。実はこの2人も人生2回目なんじゃないかなって密かに思ってたりする。そう思いたくなるくらい、この二人は博識で落ち着いてる。でもまさかそんなこと聞けやしないんだよなー。

「あなた、お礼なんて言うからあの子たちが諦めずに誘うんじゃない」
「嫌なら嫌って言えよ藤丸」
「いやー、実際誘ってもらえると嬉しいしさ。まあ入れないんだけど」
「入れない理由を説明して貰えますか立香くん!」
「そーだよ。いつも、無理かなー、とか今度ねー、とか曖昧すぎて歩美たち諦めきれないもん!」
「そうだぞ立香!はっきりさせろよな!」

理由。理由かあ。簡単に言うならサーヴァントたちの相手をするのに忙しいだけなんだけどさ。そんなこと言ったら探偵団の探求心に火をつけちゃうだろう。オレは今世でも何の力も持ってないから、危ない事にはできるだけ近づかないで静かに平穏に暮らしていきたい。大好きな母さんや英霊たちとずっと一緒にいたいだけなんだ。

「どうやら入り組んだ事情があるようですね…」
「なんか悩み事あんなら聞くぞ?」
「そうだよ立香くん、探偵団に相談して?」
「あなたたちが誘わなければ悩みもしないっていうのは思いつかなかったのね」
「みてーだな。どちらにせよ藤丸と仲良くなりたいってのは変わらねーみたいだし」
「うーん、単純に家庭の事情ってやつなんだけど…」
「家庭の事情も何の事情も探偵団にお任せだぜ!」
「そうだよそうだよ!浮気調査だってしちゃうんだから!」
「猫探し以外にもちゃんと仕事してるんですからねっ」
「ねえ、灰原さん。小学生に浮気調査の依頼ってくるもん?」
「依頼というか、勝手に首つっこんで巻き込まれてるというか、ね」
「ハハ…。まあ何にせよ、少しでもいいからコイツらに付き合ってやれば満足するんじゃねーか?」
「しょうがないなあ。すこしだけだよ」
「やったー!それじゃあ、早速ポアロに行って立香くんの勧誘会を行いましょう!」
「私はパス」
「ええっ、灰原さん来ないの?しかもパスって。だったらオレもパスしたいなー、なんて」
「ダメだよ立香くん。パスは哀ちゃんの特権だから」
「そうなんだ……」


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