拍手ログ きょうのわんこ


かくかくしかじか。なんやかんやと色々あった結果、我が家に犬を迎えることになった。

「い、いぬ……?!」

ついてくる犬がいるからこのまま飼おうと思う。そっくりそのまま吉川に伝えたところ、手にしていたスプーンを落としてしまうくらいには驚いているらしい。犬が嫌いだったのか?いつだったか犬と遭遇したことがあったがそんな素振りはなかったけど。

「どのくらいのおおきさです?」
「うーん、そうだな……吉川よりは小さいよ」
「そりゃそんな大きかったらイヤですよぅ。怖いもん」

ああ、そうか。身長が縮んでしまった今となっては、大人の目線で見る犬とは印象が確かに違うもんな。仲良くなれるかな、とかあんまり吠えないかな、とか一人でブツブツ呟いてるがきっとそんな心配はいらないだろう。







「心配はいらないと確かに思ったけども」

ただいまー、と慣れた挨拶を声に出しながら家に帰ったのに先に帰っているはずの部下(小学生)はこっちに見向きもせず、一生懸命ハロをブラッシングしていた。おいこら吉川。ハロはちゃんと俺に気づいてるのにお前は気づいてないってどういうことだ!

「ハロちゃん〜〜今日もとってもかわいいねえ!おねーさんが綺麗な毛並みにしてあげるよ〜〜」
「その不審者丸出しの言動はどうにかならないのか馬鹿」
「ぎゃっ、降谷さん!」

ぎゃっ、って何だぎゃって。じっとり見下ろしてみると、慌てて吉川は立ち上がる。床に伏せたまま、ふにゃふにゃ幸せそうにしているハロと俺の顔をわかりやすくキョロキョロ交互に見てから、どっこせとハロを抱き上げつつ見上げてきた。

「おかえりなさい、降谷さん!」
「アンッ!」
「……ただいま」

別に可愛く見えたから許すわけじゃない。けど、悪くない組み合わせに思わず吉川の頭を撫でていた。僕も僕もとせがむハロを撫でてやれば、吉川の頬がぷっくり膨れて拗ねている。犬に張り合ってどうするんだ。

「明日はちゃんと、すぐにおかえりなさいって言いますね!」

仕方ないから撫でてやることにするか。


- 22 -


[*前] | [次#]
ページ:




- ナノ -