拍手ログ こどもは保護対象なので(ver.風見家)


以前、小さくなった吉川を預けに玄関まで来たことはあるが中に入るのはこれが初めてだった。まさか小さくなって足を踏み入れることになるとは……。 

「わーいこないだぶり!おっ邪魔します〜」
「俺まで悪いな」
「いえ。普段と違う身体だと不便でしょうから構いません」
「なんかわたしが小さくなった時と二人とも反応ちがう!」

当然だろう。口に出さずとも風見と二人で同じことを考えてたらしく、俺達の視線から逃げるように吉川が顔をそらす。

「もーいいですよーだっ」

二人とも玄関に置いていってやる!と甲高い声でそう宣言した吉川はつるつる滑るフローリングを全速力で駆け抜けてリビングに滑り込む。転んだらどうするバカ!と叱りつけても「聞こえませーん!」と滑ってく。聞こえてるだろ!

「っあれぇ?!」
「どうした吉川?!」
「降谷さん!走らないで!」

いや風見おまえ俺じゃなくて吉川をだな、

「ト●ロだーーーっ!!!」
「はあ?」
「降谷さん、ト●ロです!トト●がいますっ!」

リビングの中央で異様な存在感を醸し出しているのは某アニメ映画の生き物の姿をまるまる象ったソファだった。前はいなかったのに!とはしゃぎまわる吉川から風見に視線をうつせば、わかりやすすぎるくらいそっぽを向いていた。

「いえ別に、吉川がまた来るかもしれないと思って買ったわけではありませんが」
「思いっきり楽しみにしてただろお前」

すごいすごいと目の色を変えてソファの上で跳ねている吉川は本当に見た目相応の精神年齢になってるみたいだ。

「すごいですねえ、本物みたい!本物いたらこんな感じなんですかね!あーでも映画だともっとおっきかったような……あ!降谷さんも乗って下さいよっ」
「いやだ」
「そう言わずに〜。ほら、風見さんが乗って欲しそうにしてますよ」
「別にしていませんよ降谷さん!」
「ああ。とりあえず眼鏡かけ直すのやめて落ち着くんだ風見」

風見がずっと眼鏡のブリッジを指で何度もカシャカシャかけ直す。トトロのお腹に乗ってる吉川がどん引いてるから今すぐやめろ。

「降谷さんが乗ってくれたら万事オッケーです!」

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