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グッモーニンダーリン




「はーなーい、」



首筋を擽る感覚と声に目を覚ます
薄ら開けた視界に映るのは朝の白い光と
真っ黒な短い髪のコントラスト



「はない、起きろよー」



起き抜けの頭でもはっきりと
それが誰かくらいは理解する
左の首筋めがけて出した手は
少し硬めの髪に触れ
そばかすだらけの顔を映した。



「はないー?」



はよー、と屈託無い笑顔
朝からこれは少し嬉しい
上体を起こして、くっついてた一回りも二回りも違う細い腰を抱いて
愛しすぎる笑顔に
触れるだけの軽いキスをひとつ



「えへ。」

「えへじゃねーだろ。‥あー、今何時?」

「四時ちょっと過ぎ!」

「まだ早ぇじゃん。何で起こしたんだよ」



昨日寝たのが零時を少し回った辺り
幾ら若くても続く毎日の練習で体は疲れてて
たった四時間ぽっちじゃ真っ只中の成長期の足しにもならない。

何で、と寝起きのかすれ声に問われ
怒られたと思ったのか、元気が取り柄のそいつは少し肩を落とした


「‥‥‥早く起きちゃって、」

「うん」

「オレ、二度寝出来ないからさ」

「うん」



下に二人も妹が居る所為か、末っ子の甘えたみたいなのには上手く対応出来る。
普段の俺達は恋人よりも、
世話を焼いて焼かれる兄弟のそれによく似てる



「寂しかったから。」

「ん」

「‥‥あと、早く起きたら時間までいちゃいちゃ出来ると思った。」

「おーまーえーはっ」

「ギャ!」



たく
撫でてた髪を放して
同じ指で額を弾いた



「ほんとしょーがねーな…」

「だっ、寝んなよはな‥‥っ」

「寝ねーよ。目ェ覚めちゃったし。‥‥‥‥‥で?」

「え、」

「何、したいって?」



いちゃいちゃしたいんだろそう言って
離した指を頭に回せばもう笑ってる
俺も大概狂ってる。
甘やかしたくて甘やかしたくて
末っ子の所為もあってそいつは甘え上手で
お兄ちゃんの所為もあってそんな可愛い生き物を
俺は甘やかしたくて仕方ない



何が欲しい?
――キスして欲しい

何して欲しい?
――ぎゅって抱き締めてよ。


時間迄君の気が済む迄
言う通りにしてやるよ
欲しい物全部くれてやる


甘えたな君に 無償の愛。




―― SWEET HONEY!



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