あなたに焦がれる10題(1〜5)
Twitterのお題bot(@milkmilk_odai)からお題お借りしました。


あなたに焦がれる10題 (1〜5)


1.たったひとつの恋を見つけた

届かないであろうものに手を出すことも近付くことすらせずに過ごしてきた。今までも、そしてこれからもそうだろうと思っていたのに、つい触れてしまった手を引っ込めることも出来ず、目を離すことも出来ない。こんな感情が俺にもあったとはな。


2.背を見つめる視線の熱さに気づいて

背負っている自由の翼に向けられる視線とは別の意味合いの視線を感じるようになった。畏怖や尊敬とは違う、控えめだが確かな熱…振り返れば一瞬合うものの逸らされ、気付かなかったフリをして前を向けば背中にまた熱を感じ…。彼女のその熱を求め、焦がれているのは俺の方か。


3.繰り返す問いかけに夜が闇を深める程に

仕事を終えても眠れないのはいつものことだが、眠れないもう一つの理由を冷めた紅茶と共に飲み干す。ペトラがこの茶を持ってきてくれた時、危うく彼女を腕の中に閉じ込めそうになった。想いと言うには欲にまみれた、彼女だけへの衝動を夜闇が飲み込んでくれたなら…。


4.何度も転がす貴方の名前に声が嗄れても

名前ひとつ呼ぶのがこんなに嬉しくも辛いとは思わなかった。辛いのは呼ぶことが怖いから。私を只の女にしてしまうから。あの人は私の名前如きではそうは思わないのだろうけど、あの人の名前は私にとっては特別で。口の中で心の中で何度も何度も呼んでは音もなく消えるのに、嗄れたように喉は痛くて堪らない。


5.伸ばしかけた細い指が躊躇って落ちた

風で少し乱れた彼女の髪をそっと耳に掛ければ、たちまちその耳先すら赤くして目を伏せる。赤くなった耳に頬に触れたかったが、ぐっと堪えて手を離す。彼女から触れてくれれば…俺の願いに気付いたのか、彼女の指が宙を彷徨い、見えない壁に阻まれたかのように落ちた。
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